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納骨でお坊さんを呼ばないのは失礼?費用や流れ、マナーまで解説

はじめに:納骨でお坊さんを呼ばない選択肢に迷っていませんか?

ご家族や大切な方が亡くなり、納骨の準備を進める中で、「お坊さんは必ず呼ばなければならないのだろうか?」と疑問に思う方が増えています。特に、お寺とのお付き合いがなかったり、無宗教であったりする場合、形式ばった儀式に抵抗を感じることもあるでしょう。

また、費用をできるだけ抑えたい、家族だけで静かに故人を偲びたいという想いから、お坊さんを呼ばない納骨を検討するケースも少なくありません。しかし、「お坊さんを呼ばないのは失礼にあたるのではないか」「親族から反対されないか」といった不安から、一歩を踏み出せない方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、そんなあなたの疑問や不安を解消します。

結論:納骨でお坊さんを呼ばなくても問題ありません

まず結論からお伝えすると、納骨の際にお坊さんを呼ばなくても、法律的にもマナー的にも全く問題ありません。納骨は故人を供養するための大切な儀式ですが、その形式は法律で定められているわけではなく、ご遺族の意思が最も尊重されるべきです。大切なのは、故人を偲び、感謝を伝える気持ちです。お坊さんを呼ぶかどうかは、あくまで選択肢の一つとして考えましょう。

近年では、宗教観の多様化により、お坊さんを呼ばずに家族のみで納骨式を行う「無宗教形式」を選ぶ方が増えています。形式にとらわれず、自分たちらしい方法で故人をお見送りすることが、何よりの供養となるでしょう。

お坊さんを呼ばないのは失礼にあたらない理由

納骨式でお坊さんを呼ばないことが、故人やご先祖様に対して失礼にあたるのではないかと心配されるかもしれません。しかし、供養の本質は、豪華な儀式や形式にあるわけではありません。故人を想い、遺された家族が心穏やかに過ごすことこそが、本当の意味での供養に繋がります。

仏教の教えにおいても、読経などの儀式は故人の冥福を祈るための一つの方法ではありますが、それがなければ成仏できないというものではありません。ご家族が心を込めて手を合わせ、故人との思い出を語り合う時間も、大変尊い供養の形です。自分たちの信念に基づいた選択であれば、何も心配する必要はありません。

「無宗教」や「宗教宗派を問わない」霊園ならさらに安心

お墓や納骨堂を選ぶ際に、「宗教不問」や「無宗教の方歓迎」といった条件を掲げている霊園や墓地を選ぶと、より安心して納骨を進められます。こうした施設では、特定の宗教儀式を前提としていないため、お坊さんを呼ばないことに対して管理者から何か言われる心配はまずありません。

また、公営霊園は基本的に宗教不問です。民営霊園でも宗教を問わない施設が大多数を占めています。事前に霊園の管理事務所に連絡し、「宗教的な儀式は行わずに、家族だけで静かに納骨したい」という希望を伝え、規則などを確認しておくと、当日もスムーズに進むでしょう。

お坊さんを呼ばない納骨が増えている3つの理由

現代において、お坊さんを呼ばずに納骨を行う選択は、決して珍しいものではなくなりました。その背景には、社会や個人の価値観の変化があります。ここでは、その主な3つの理由について解説します。

理由1:経済的な負担の軽減

お坊さんを呼んで読経をしてもらう場合、謝礼として「お布施」をお渡しするのが一般的です。お布施の金額に決まりはありませんが、納骨法要のみで3万円~5万円程度が相場とされています。これに「お車代」や「御膳料」が加わることもあり、決して小さな負担ではありません。

お坊さんを呼ばない形式を選べば、これらの費用を抑えることができます。その分を故人が好きだったお花で祭壇を飾ったり、お墓の維持管理費に充てたりと、別の形で故人のために使うことも可能です。

理由2:価値観の多様化と無宗教層の増加

現代は、人々の価値観が多様化し、特定の宗教を信仰しない「無宗教」層が増えています。親世代は信仰心があっても、子世代はそうでないというケースも珍しくありません。そのため、伝統的な仏教の形式にこだわらず、より自由な形で故人を見送りたいと考える人が増加しています。

宗教的な儀式を行わないことに、寂しさやうしろめたさを感じる必要はありません。故人の生前の人柄や遺志を尊重し、家族が納得できる方法を選ぶことが最も大切です。

理由3:家族だけで静かにお別れをしたい

核家族化が進み、親戚付き合いが希薄になった現代では、大勢の参列者を招いて大々的な法要を行うことを望まない家族も増えています。気心の知れた家族やごく親しい友人だけで、ゆっくりと故人を偲び、お別れの時間を過ごしたいというニーズが高まっています。

お坊さんを呼ばず、家族のみで行う納骨式は、周囲に気を遣うことなく、アットホームな雰囲気で行えるというメリットがあります。故人との思い出を語り合いながら、心ゆくまで最後のお別れができます。

【実践】お坊さんを呼ばない納骨の具体的な流れ

実際にお坊さんを呼ばずに納骨を行う場合、どのような準備や手順が必要になるのでしょうか。ここでは、具体的な流れを5つの段階に分けて解説します。

ステップ1:親族への相談と日程調整

最も重要なのが、親族、特に故人と近しい関係にあった方々への事前相談です。お坊さんを呼ばないという決定は、ご自身の家族だけで進めず、必ず関係する親族の理解を得ておきましょう。「なぜお坊さんを呼ばないのか」という理由を丁寧に説明し、合意を形成することで、後のトラブルを防ぐことができます。合意が得られたら、参列者の都合を聞きながら納骨の日程を決めます。

ステップ2:墓地・霊園の管理者へ連絡

納骨の日程が決まったら、次にお墓がある墓地や霊園の管理事務所へ連絡します。「〇月〇日に納骨を行いたいのですが、お坊さんは呼ばずに家族だけで行います」と伝え、手続きや規則について確認しましょう。施設によっては、納骨に際して事前の届出が必要な場合があります。このときに、石材店を自分で手配して良いかも確認しておくとスムーズです。

ステップ3:石材店へお墓の開閉を依頼

お墓に遺骨を納めるには、墓石の一部である「カロート(納骨室)」の蓋を開ける必要があります。この蓋は非常に重く、専門的な知識がないと動かすのは困難で、墓石を傷つけたり、怪我をしたりする危険があります。

基本的には、お墓を建てた石材店か、霊園指定の石材店に連絡し、納骨当日の開閉作業を依頼しましょう。費用はかかりますが、安全かつ確実に行うためには専門家への依頼が不可欠です。

ステップ4:必要書類「埋葬許可証」の準備

お墓に遺骨を埋葬するには、「埋葬許可証(火葬許可証に火葬場の印が押されたもの)」が絶対に必要です。この書類がないと、墓地の管理者は納骨を許可できません。通常は骨壷の箱の中に一緒に保管されていますが、万が一紛失した場合は、火葬を行った自治体で再発行の手続きが必要です。納骨当日までに、必ず手元にあるかを確認しておきましょう。

ステップ5:納骨当日の進行

お坊さんを呼ばない場合の当日の流れに、決まった形式はありません。以下に一例を挙げますので、参考にしてください。

  1. 参列者集合、施主の挨拶
  2. 石材店によるお墓の開閉
  3. 遺骨の埋葬(カロートに骨壷を納める)
  4. 参列者による献花・焼香(省略も可)
  5. 故人を偲び、黙祷や語らいの時間
  6. 石材店によるお墓の閉鎖・清掃
  7. 施主の挨拶、会食(省略も可)

司会進行は施主が行うのが一般的です。故人が好きだった音楽を流したり、思い出の品を飾ったりと、自由な形で進行できます。

お坊さんを呼ばない納骨でかかる費用とは?

お坊さんを呼ばないことで、お布施の費用はかからなくなりますが、その他の費用が全くかからないわけではありません。ここでは、具体的にどのような費用が必要になるのかを解説します。

お坊さんを呼ぶ場合との費用比較

費用の違いを分かりやすく表にまとめました。

項目お坊さんを呼ぶ場合お坊さんを呼ばない場合
読経のお布施3万円~5万円不要
お車代・御膳料5千円~1万円程度不要
石材店への作業料1万5千円~3万円1万5千円~3万円
墓石への彫刻料3万円~5万円3万円~5万円
合計(目安)8万円~14万円4万5千円~8万円

※彫刻料は納骨と同時に行うとは限らないため、あくまで目安です。

主な費用の内訳:石材店への依頼料など

お坊さんを呼ばない場合でも、以下の費用は発生することが一般的です。

  • お墓の開閉作業費:石材店に依頼する費用です。相場は1万5千円~3万円程度です。
  • 彫刻料(字彫り代):墓誌や墓石の側面などに、故人の戒名(法名)、俗名、没年月日、年齢などを彫刻する費用です。相場は3万円~5万円程度です。
  • お供え物・献花代:故人が好きだったお花やお菓子などを用意します。
  • 会食費:納骨後に会食を行う場合にかかります。一人あたり3千円~1万円程度が目安です。

自分たちで納骨する場合の費用

「納骨を自分でする」ことを考え、石材店に依頼せず、自分たちの手でカロートの蓋を開閉しようとする方もいらっしゃいます。この場合、石材店への作業料はかかりませんが、墓石の破損や怪我のリスクが非常に高いため、絶対におすすめできません。

特殊な工具が必要な場合や、墓石の構造が複雑な場合もあります。万が一、墓石を破損させてしまうと、高額な修理費用がかかり、結果的に費用負担が増えてしまいます。安全と確実性を考え、必ず専門の石材店に依頼しましょう。

【事前に確認】服装・持ち物・お供えのマナー

家族のみで納骨を行う場合でも、故人への敬意を示すために最低限のマナーは心得ておきたいものです。服装や持ち物、お供えについて解説します。

服装:家族のみなら平服でも良い?

納骨式に厳格な服装の決まりはありません。特に家族のみなど内輪で行う場合は、必ずしも喪服である必要はなく、「平服(へいふく)」で問題ありません。ただし、平服とは普段着やカジュアルな服装のことではなく、「略喪服」を指します。黒や紺、グレーなど、落ち着いた色合いの地味な服装を心がけましょう。

男性の服装例

ダークスーツ(黒、濃紺、チャコールグレーなど)に、白いワイシャツ、黒無地のネクタイ、黒い靴下が基本です。光沢のある素材や派手な柄物は避けましょう。

女性の服装例

黒や紺などのダークカラーのワンピース、アンサンブル、またはパンツスーツを選びます。肌の露出は控え、スカート丈は膝が隠れる長さに。アクセサリーは一連のパールネックレス程度にし、化粧も控えめにします。

子どもの服装例

学生の場合は学校の制服が正装となります。制服がない場合は、黒や紺、白を基調とした落ち着いたデザインの服装を選びましょう。キャラクターがプリントされた服や派手な色の服は避けるのがマナーです。

当日の持ち物リスト

当日に慌てないよう、必要な持ち物は事前に準備しておきましょう。以下のリストを参考にしてください。

  • 遺骨
  • 埋葬許可証(非常に重要)
  • 墓地使用許可証
  • 数珠(宗教を問わず、故人への敬意として持参する方も多い)
  • お供え物(お花、お菓子、果物など)
  • 線香、ろうそく、ライター
  • 手桶、ひしゃく、雑巾など(掃除用具)
  • 半紙(骨壷を直接地面に置かないように下に敷く)

お供え物の選び方と注意点

お供え物は、故人が生前好きだったお菓子や果物、飲み物などを用意すると喜ばれるでしょう。お花は、棘のあるバラや香りの強すぎる花、毒のある花は避けるのが一般的です。故人が好きだった花を選ぶのが一番ですが、迷った場合は白や淡い色の菊、カーネーション、ユリなどが無難です。

注意点として、お供え物は持ち帰るのがマナーです。そのままにしておくと、カラスなどに荒らされてお墓が汚れる原因になります。霊園の規則で定められている場合も多いので、必ず確認しましょう。

お坊さんを呼ばない納骨の注意点|トラブルを避けるために

自由な形式で行える一方で、いくつか注意すべき点があります。後悔やトラブルのない納骨にするため、以下の3つのポイントは必ず押さえておきましょう。

菩提寺がある場合は必ず事前に相談する

もし、代々お世話になっている「菩提寺(ぼだいじ)」のお墓に納骨する場合は、お坊さんを呼ばないという選択は慎重に検討する必要があります。菩提寺の住職に相談なく無断で納骨を行うと、関係が悪化し、最悪の場合、そのお墓が使えなくなる可能性もゼロではありません。

菩提寺がある場合は、まず住職に事情を説明し、お坊さんを呼ばずに納骨したい旨を丁寧に相談しましょう。ご家庭の事情を汲んで、理解を示してくれるケースもあります。

親族への丁寧な説明を怠らない

世代や個人によって、供養に対する考え方は様々です。自分たちは良かれと思って決めたことでも、親族の中には「お坊さんを呼ばないなんてとんでもない」と考える方がいるかもしれません。

「費用を抑えたい」「家族だけで静かに行いたい」など、お坊さんを呼ばない理由を誠意をもって説明し、理解を求めることがトラブル回避の鍵です。事前の相談を徹底し、全員が納得した上で当日を迎えられるように配慮しましょう。

自分たちだけで行う場合の墓石の扱い

費用を節約するために、自分たちで納骨室の蓋を開けようと考える方もいますが、前述の通り大変危険です。墓石は非常に重く、素人が動かすと墓石を傷つけたり、手を滑らせて骨壷を落としてしまったり、最悪の場合は大怪我に繋がります。

安全のためにも、必ず石材店などの専門業者に依頼してください。専門家であれば、墓石の構造を理解しており、適切な手順で安全に作業を行ってくれます。

お経がないと故人は成仏できない?宗教的な疑問を解消

お坊さんを呼ばない選択をする上で、多くの人が心のどこかで抱くのが「お経をあげないと、故人は成仏できないのではないか」という宗教的な不安ではないでしょうか。この疑問について解説します。

仏教における読経の本来の意味

仏教において、お経(読経)は、お釈迦様の教えを唱える修行の一つです。法要で読経を行うのは、故人の冥福を祈ると同時に、遺された人々が教えに触れることで心を落ち着かせ、悲しみを乗り越える手助けとする意味合いもあります。

つまり、読経は故人のためだけに行われるものではなく、遺族のためのものでもあるのです。故人が成仏できるかどうかは、読経の有無だけで決まるものではないとされています。

大切なのは形式よりも供養の気持ち

最も大切なことは、宗教的な形式を守ること以上に、遺された家族が故人を心から偲び、感謝の気持ちを伝えることです。故人の生前の思い出を語り合い、安らかな眠りを祈る。その想いこそが、何よりの供養になります。

形式にとらわれるあまり、家族間で意見が対立したり、経済的な負担に苦しんだりしては本末転倒です。自分たちが心から納得できる、後悔のないお別れの方法を選ぶことが、故人にとっても一番嬉しいことではないでしょうか。

まとめ:故人を想う気持ちが一番の供養です

この記事では、お坊さんを呼ばない納骨について、その理由から具体的な流れ、費用、マナー、注意点までを詳しく解説しました。結論として、お坊さんを呼ばずに納骨を行うことは、決して失礼なことではなく、現代における供養の一つの立派な選択肢です。

大切なのは、周囲の意見や古い慣習に流されるのではなく、ご家族が故人を想い、納得のいく形でお見送りをしてあげることです。この記事を参考に、皆さまが後悔のない、心温まる納骨式を執り行えることを心から願っています。

納骨に関するよくある質問

納骨にかかる費用(お布施・香典)の相場は?

お坊さんを呼ぶ場合、読経のお布施として3万円~5万円が相場です。呼ばない場合はこの費用はかかりません。その他、石材店への作業料(1万5千円~3万円程度)や、墓石への彫刻料(3万円~5万円程度)が必要です。家族のみの納骨では香典を辞退するケースも多いですが、もし受け取る場合は一人あたり5千円~1万円が目安です。

納骨は自分たちだけでもできますか?

手続き上は可能ですが、お墓の納骨室の蓋は非常に重く、専門知識なしに動かすのは危険です。墓石の破損や怪我に繋がる恐れがあるため、必ず石材店などの専門業者に開閉を依頼しましょう。安全かつ確実に行うことが大切です。

納骨の際、読経は必ず必要ですか?

必ずしも必要ではありません。読経は仏教における供養の一つの形ですが、それがなければ故人が成仏できないというわけではありません。無宗教の場合や、ご家族の意向で宗教的な儀式を行わない選択も尊重されます。大切なのは故人を偲ぶ気持ちです。

家族のみで納骨する場合の服装はどうすればいいですか?

厳格な喪服でなくても構いませんが、「平服(略喪服)」が基本です。男性はダークスーツ、女性はダークカラーのワンピースやアンサンブルなど、黒や紺を基調とした落ち着いた服装を心がけましょう。普段着のようなカジュアルすぎる服装や、肌の露出が多い服、派手な色や柄物は避けるのがマナーです。

納骨式に参列できない場合、どうすればいいですか?

まずは早めに施主(主催者)に連絡し、参列できないお詫びと理由を伝えます。香典(お供え料)や供花、お供え物を送ることで弔意を示すことができます。後日、改めてお墓参りに伺う旨を伝えると、より丁寧な印象になります。

  • この記事を書いた人

浅田 尚行

「終活を身近に」を目標に掲げ、ライフエンディングに関するあらゆる疑問や不安を解消し、メリットやデメリットを分かりやすくお伝えすることで、新たな一歩を後押ししています。誰もが安心して未来を考えられるよう、わかりやすさと心に寄り添う情報提供を大切にしています。【資格:終活ガイド資格1級、3級ファイナンシャル・プランニング技能士】

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