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お墓から1人だけ移動できる?手続きの流れ、改葬・分骨の違い

「お墓から1人だけ遺骨を移動できるのだろうか?」そう疑問に感じている方は意外と多いものです。親や配偶者など、特定の方だけでも近くで手を合わせたいと考えるのは自然な気持ちです。しかし、いざ移動を考えると「法律的に問題はないのか」「親族と揉めたりしないか」「手続きや費用はどれくらいかかるのか」など、次々に不安が湧いてきますよね。

本記事では、そんなお墓から1人だけ移動を検討している方に向けて、改葬と分骨の違い、必要な手続き、費用相場、トラブルを避ける注意点など、知っておきたい情報をわかりやすく解説しています。大切な方の供養を安心して続けるために、ぜひ参考にしてみてください。

お墓から1人だけ移動することは可能?

お墓に眠る家族の中で、「この人だけ近くに移したい」「1人だけ別のお墓に移して供養したい」と考えることがあります。しかし、「そもそもお墓から1人だけ遺骨を移動することができるのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。お墓は家族全体のものという意識が強いため、1人だけ移すことに不安を感じるのは当然です。

結論から言えば、お墓から1人だけ遺骨を移動することは可能です。ただし、勝手に行うことはできません。法律で定められた「改葬(かいそう)」という手続きが必要になります。また、「分骨(ぶんこつ)」という方法を選ぶこともあります。この2つは似ていますが、内容が異なるため注意が必要です。

お墓から1人だけ移す理由として、「お墓が遠くてお参りが大変」「特定の家族だけ別に供養したい」「後継者がいなくて墓じまいを考えている」など、さまざまな事情があります。いずれにせよ、手続きや親族間の話し合いをしっかり進めることが大切です。

お墓の移動とは?改葬と分骨の違い

お墓から遺骨を移動する方法には、「改葬」と「分骨」の2種類があります。それぞれ目的や手続きが異なるため、違いを正しく理解しておきましょう。

改葬とは、現在納められているお墓から遺骨を取り出し、新しいお墓に移し替えることを指します。たとえば、「田舎にある先祖代々のお墓から、1人分だけ取り出して自宅近くの霊園に移す」といったケースです。この場合、役所で『改葬許可証』を取得する必要があります。

一方で、分骨は、遺骨の一部を取り出し、元のお墓にも残しつつ、別のお墓や納骨堂、自宅などに分けて納める方法です。「1人の遺骨を複数の場所で供養したい」「遠方に住む家族の近くでも供養したい」といった希望に応えられます。分骨には改葬許可証は必要ありませんが、『分骨証明書』を求められる場合があります。

つまり、完全に1人分を移すなら改葬、一部だけ取り出すなら分骨というイメージです。どちらを選ぶかによって手続きや費用も変わってくるため、最初に家族で話し合って方針を決めることが大切です。

1人だけ移動できるケースとできないケース

基本的には「お墓から1人だけ移動すること」は可能ですが、ケースによっては難しい場合もあります。スムーズに移動できるケースと、移動が難しいケースを確認しておきましょう。

移動できるケースとして多いのは、以下のような場合です。

  • 親族の同意が得られている
  • お寺や霊園の管理者が移動を認めている
  • 新しい納骨先がすでに決まっている
  • 改葬許可証や分骨証明書など必要書類をそろえられる

このように、手続きが整っていれば大きな問題なく進めることができます。

一方で、移動できない、あるいはトラブルになるケースもあります。

  • 親族間で意見がまとまらない
  • お墓を管理するお寺から反対される
  • 改葬許可証の取得に必要な書類が不足している
  • 新しい納骨先がまだ決まっていない

特に、親族やお寺とのトラブルが原因で移動できなくなるケースは少なくありません。事前にしっかり話し合い、関係者全員が納得したうえで進めることが不可欠です。また、役所での手続きも書類不備があると受理されないため、必要書類を早めに確認しておくと安心です。

「移動できると思っていたのに、途中でダメになった…」とならないよう、慎重に準備を進めましょう。

お墓から1人だけ移動する際の手続き

お墓から1人だけ遺骨を移動する場合、法律に基づいた手続きが必要です。特に、改葬と分骨では流れや必要書類が異なるため、間違えないよう確認しましょう。どちらを選んでも、親族間での合意形成が重要になります。

手続きはやや煩雑に感じるかもしれませんが、一つ一つ進めれば決して難しいものではありません。事前に流れを把握しておけば、スムーズに進められるでしょう。

改葬許可申請の流れ

改葬とは、現在のお墓から遺骨を取り出して、新しい墓地や納骨堂に移す手続きです。お墓から1人だけ移動させる場合、改葬許可証を役所で取得する必要があります。

具体的な流れは以下の通りです。

  1. 親族で話し合い、移動の合意を得る
  2. 移動先(受け入れ先)の墓地や納骨堂を決める
  3. 移動先の管理者から「受入証明書」をもらう
  4. 現在の墓地管理者(お寺など)から「埋葬証明書」をもらう
  5. 役所で「改葬許可申請書」を提出し、許可証を取得する
  6. 許可証を持って現在のお墓から遺骨を取り出す
  7. 移動先に遺骨を納める

役所での手続きは、移動元の墓地がある市区町村で行います。例えば、「実家のある田舎のお墓から父親の遺骨だけ移す」という場合、田舎の役場に申請する形になります。

特に重要なのが、「受入証明書」と「埋葬証明書」です。これらがないと改葬許可証は発行されません。早めに移動先を決めて、必要書類を用意しましょう。

許可証が出るまで1週間〜10日程度かかることもあるので、余裕をもって進めることが大切です。

分骨を選ぶ場合の手続き

分骨とは、遺骨の一部を取り出して、新たな場所に納める方法です。改葬とは異なり、役所での改葬許可申請は不要ですが、いくつか注意点があります。

分骨の流れは次の通りです。

  1. 親族で分骨について話し合う
  2. 分骨する分を納める場所を決める
  3. 現在の墓地管理者に分骨の希望を伝える
  4. 遺骨の一部を取り出して分骨する
  5. 必要に応じて「分骨証明書」を発行してもらう
  6. 移動先に納める

分骨証明書とは、「この遺骨は正当な手続きで分骨されたものです」と証明する書類です。移動先の霊園や納骨堂によっては提出を求められる場合があるため、分骨時に忘れず管理者に発行を依頼しておきましょう。

分骨は比較的手軽に行える反面、親族間で「遺骨を分けるなんて…」と感情的なトラブルになりやすいケースもあります。手続きが簡単だからと軽く考えず、必ず家族の合意を得てから進めることが重要です。

「改葬」も「分骨」も、最も大切なのは故人と家族にとって納得のいく形で供養することです。手続きに気を取られすぎず、心を込めて準備を進めることを忘れないようにしましょう。

お墓を移動する際の費用と相場

お墓から1人だけ移動する場合、気になるのが費用です。「思ったより高かった…」と後で困らないように、あらかじめ費用の内訳や相場を把握しておくことが重要です。改葬と分骨では必要な費用も異なります。さらに、移動時には思わぬ追加費用が発生することもあるため、全体像を知ったうえで計画的に進めることが大切です。

ここでは改葬、分骨、それぞれにかかる費用と、見落としがちな追加費用について詳しく解説します。

改葬にかかる費用の内訳

改葬とは、お墓から遺骨を取り出し、新しいお墓に移すことです。1人だけ移動させる場合でも、いくつかの費用が発生します。主な内訳は以下の通りです。

  • 既存墓地の閉眼供養(魂抜き):3万円〜5万円
  • 遺骨の取り出し作業費:1万円〜5万円
  • 新しい墓地の永代使用料:30万円〜100万円以上
  • 新しい墓石の建立費:50万円〜200万円以上(必要な場合)
  • 新しい墓地の管理費:年間5千円〜1万円程度
  • 開眼供養(魂入れ):3万円〜5万円

合計すると、改葬には50万円〜200万円程度かかるケースが一般的です。ただし、新しい墓石を立てる場合や、都市部の霊園を選ぶとさらに高額になることもあります。

「新しいお墓はいらない。納骨堂に収めるだけ」という場合は、10万円〜30万円程度で済むこともあります。費用に幅があるため、自分や家族に合った方法を検討しましょう。

分骨に必要な費用

分骨は、遺骨の一部を取り出して別の場所に納める方法です。改葬に比べて手続きが簡単で、費用も抑えやすいのが特徴です。

主な費用は以下の通りです。

  • 墓地管理者への手数料:5千円〜1万円程度
  • 分骨証明書発行手数料:無料〜5千円程度
  • 新しい納骨堂や永代供養墓の費用:5万円〜30万円程度

合計で5万円〜30万円程度が目安です。特に納骨堂や永代供養墓の場合、初回の費用だけで管理費が不要になるケースも多いため、後々の負担を減らしたい方にも向いています。

追加で発生する可能性がある費用

改葬でも分骨でも、予想していなかった費用が発生することがあります。事前に把握しておきましょう。

  • 親族との相談・説得にかかる交通費や謝礼
  • 遠方の墓地から遺骨を移動させる場合の運搬費:数万円〜
  • 寺院や霊園への寄付金・お布施:3万円〜10万円程度
  • 石材店に依頼する場合の手数料:数万円程度
  • お墓の撤去費用(墓じまいを併せて行う場合):10万円〜50万円程度

特に墓じまいを考えている場合、墓石の撤去や更地化費用がかさむため注意が必要です。また、地方では「お寺付き合い」として、住職への謝礼が必要になるケースもあります。後々のトラブルを防ぐためにも、地元の慣習を確認しておくと安心です。

「思った以上にお金がかかった…」とならないために、改葬・分骨ともに見積もりを取り、できる限り具体的な金額を把握してから進めることをおすすめします。

お墓から1人だけ移動する際の注意点

お墓から1人だけ遺骨を移動する場合、手続きや費用だけでなく、親族間の調整や管理者とのやり取りなど、細かな注意点がいくつもあります。ここで紹介する5つのポイントを押さえておけば、移動後に「こんなはずじゃなかった」と後悔することを避けられるでしょう。しっかり確認しながら進めてください。

注意点1:親族間で事前に十分な話し合いを行う

お墓から1人だけ移動する場合、最も多いトラブルが親族間の意見対立です。「なぜ1人だけ移すのか」「先祖代々のお墓に手を加えたくない」など、価値観や考え方の違いで話がこじれるケースも少なくありません。

特に、お墓を守ってきた年長者や親族代表が反対する場合は、慎重に話し合いを進める必要があります。「遠方でお参りが大変」「自分が責任を持って供養していきたい」など、移動を考える理由や気持ちを正直に伝え、理解を得ることが大切です。

「後で勝手にやったと言われた…」とならないよう、必ず事前に関係者全員と話し合うことを心がけましょう。

注意点2:役所での改葬許可申請は抜かりなく

改葬に必要な改葬許可証の申請は、些細なミスで手続きが滞ることもあるため注意が必要です。特に以下の点に気を付けましょう。

  • 必要書類(受入証明書・埋葬証明書)の不備
  • 申請者名義と墓地名義人が異なる場合の確認不足
  • 役所窓口が平日しか開いておらず、スケジュール調整が必要

特に「名義人が亡くなっているケース」では、相続関係を確認されることもあります。こうした場合、親族で誰が申請者になるのか話し合っておく必要があります。

申請書の書き方や必要書類に不明点がある場合は、役所窓口に早めに相談するのがおすすめです。何度も足を運ばなくて済むよう、一度で終わらせるつもりで準備することが大切です。

注意点3:お寺や霊園とのやり取りをスムーズに

現在のお墓があるお寺や霊園、移動先となる納骨先との連携も重要なポイントです。関係者とのやり取りが滞ると、スムーズに移動できなくなる恐れがあります

例えば、「改葬することをお寺に伝えたら、引き止められた」「離檀料を求められた」など、思わぬトラブルに発展するケースもあります。お寺との関係性を損なわないよう、丁寧に説明し、理解を得ながら進めることが大切です。

また、移動先でも納骨時に必要な書類や費用を事前に確認しておくと、当日の手続きがスムーズに進みます。焦らず、双方と連携をとりながら準備を進めましょう。

注意点4:遺骨の取り扱いに細心の注意を払う

遺骨を取り出す際、あるいは移動する途中での取り扱いには、細心の注意を払いましょう。これは単に壊れやすいからという理由だけでなく、遺族の気持ちに関わるデリケートな問題だからです。

遺骨が欠けたり、落としてしまったりすると、大きなショックを受ける方もいます。また、そうした出来事が親族間で後々まで尾を引く原因になることもあります。

専門業者や石材店に依頼して取り出してもらう方法もあるため、不安がある場合はプロに任せることを検討しましょう。大切な遺骨を丁寧に扱うことで、心も穏やかになります。

注意点5:移動後の供養方法を事前に決めておく

遺骨を移した後、どのように供養するのかも事前に考えておく必要があります。せっかく移動したのに、「納骨後どうすればよいか分からない…」と迷う人も意外と多いです。

例えば、移動先のお寺で定期的に法要をお願いするのか、それとも家族だけでお参りするスタイルにするのか、方向性を決めておくと安心です。また、納骨後に開眼供養(魂入れ)を行うケースもあるため、必要ならば住職と日程調整しておくと良いでしょう。

「移して終わり」ではなく、その後も故人をしっかり供養していく気持ちを大切にすることが、最終的に心の安らぎにつながります。

まとめ

お墓から1人だけ移動させることは、決して珍しいことではありません。ですが、親族間の話し合いや、行政・管理者との手続きなど、丁寧な準備が不可欠です。この記事でご紹介した「手続きの流れ」や「注意点」を押さえながら進めることで、スムーズに移動を実現し、故人を安心して供養できるでしょう。

最も大切なのは、故人を思う気持ちと、残された家族が納得して供養を続けていける環境を整えることです。お墓の移動は決してゴールではなく、新たな供養のスタートです。これからも心を込めて手を合わせ、大切な方を偲んでいけるよう、無理なく進めてください。

お墓の移動でよくある質問(Q&A)

お墓から1人だけ移動させる手続きや費用について調べていると、「これってどうなるんだろう?」と疑問が湧いてくることも多いものです。特に、お墓や供養に関することは日常的に経験することが少ないため、不安に感じるのは当然です。

ここでは、お墓の移動に関して多く寄せられる代表的な5つの疑問について、分かりやすくお答えします。事前に知っておけば、手続きも安心して進められるでしょう。

お墓を移動するのに許可は必要?

お墓を移動する場合、基本的に「改葬許可証」が必要になります。これは、現在の墓地がある市区町村役場で手続きを行い、許可証を取得する流れです。

ただし、分骨の場合は役所の許可は不要です。一方で、分骨証明書が求められるケースもあるので、納骨先が必要としている書類を事前に確認することが大切です。

許可証や証明書がないと、受け入れ先で納骨を断られるケースもあるため注意しましょう。

宗教や宗派によってルールが違う?

宗教や宗派によって、お墓の移動や供養に対する考え方が異なる場合があります。例えば、仏教でも浄土宗、曹洞宗、真言宗などでしきたりが異なるケースがあります。

また、現在のお墓がお寺の敷地内にある場合、「離檀(りだん)」の話が出ることもあります。離檀とは、お寺との関係を解消して檀家(だんか)でなくなることです。この際、離檀料が必要になる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

「どこでも自由に移動できる」と考えず、現在のお墓と移動先、双方で宗派や管理方針について確認することが大切です。

遠方のお墓でも移動できる?

遠方にあるお墓から遺骨を移動することも可能です。特に、「田舎にあるご先祖代々のお墓から、1人だけ取り出して都市部に移す」といったケースはよくあります。

ただし、遠方の場合は交通費や宿泊費などの移動にかかる費用も必要になるため、費用面での負担が大きくなりがちです。また、現地での手続きや墓石撤去なども業者に依頼する場合は、別途手数料がかかることもあるので注意しましょう。

「役所での改葬許可証取得」「お墓の管理者との打ち合わせ」など、現地でしかできない手続きも多いため、事前に必要な流れを確認して、効率よく進める計画を立てることが重要です。

分骨と改葬では費用に差がある?

分骨と改葬では、かかる費用に大きな差があります。

分骨の場合は、墓地管理者への手数料(5千円〜1万円程度)と、新しい納骨先の費用(5万円〜30万円程度)で済むケースが多く、比較的安く抑えられます。

一方で、改葬の場合は、墓石撤去費用、閉眼供養、新しい墓地や墓石費用などが必要になり、50万円〜200万円程度かかるケースも珍しくありません。

「手軽に済ませたい」「費用を抑えたい」という方は、分骨を検討してみるのも一つの方法です。しかし、分骨に抵抗を感じる親族もいるため、感情面も踏まえて慎重に判断しましょう。

お墓を移動した後、トラブルにならない方法は?

お墓を移動した後、「親族に勝手に移したと言われた」「お寺との関係が悪化した」など、トラブルが起きるケースもあります。移動後に後悔しないためには、次の点に気をつけましょう。

  • 事前に親族全員と話し合って同意を得る
  • お寺や霊園の管理者にも早めに相談し、丁寧に説明する
  • 移動後も定期的にお参りを続け、供養の気持ちを大切にする

特に、親族に対しては「自分だけでなく、皆で故人を大切にしていきたい」という気持ちを伝えることが大切です。お墓は家族全員にとって大切なものですから、一方的に進めるのではなく、できる限り協力しながら進める姿勢が、後々の安心につながります。

「移した後こそ、より丁寧に供養する」という気持ちが、何よりも大切だと言えるでしょう。

  • この記事を書いた人

浅田 尚行

「終活を身近に」を目標に掲げ、ライフエンディングに関するあらゆる疑問や不安を解消し、メリットやデメリットを分かりやすくお伝えすることで、新たな一歩を後押ししています。誰もが安心して未来を考えられるよう、わかりやすさと心に寄り添う情報提供を大切にしています。【資格:終活ガイド資格1級、3級ファイナンシャル・プランニング技能士】

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