故人のご遺骨を、由緒ある大谷祖廟へ納骨したいとお考えではないでしょうか。しかし、手続きや費用、宗派のしきたりなど、分からないことが多くて不安に感じている方も少なくありません。いざ準備を始めようにも、どこから手をつければ良いか戸惑ってしまいますよね。
この記事では、大谷祖廟への納骨に関するあらゆる疑問にお答えします。費用や必要書類、当日の流れまでを分かりやすく解説しており、この記事を読むだけで、安心して納骨の準備を進められるようになります。故人を偲び、心穏やかに送り出すための一助となれば幸いです。
大谷祖廟への納骨|まず知るべき基本

大谷祖廟への納骨を検討する上で、まずはその場所が持つ意味や、他の供養方法との違いといった基本的な知識を理解しておくことが大切です。歴史的背景や宗教的な意義を知ることで、より深く故人を偲び、納得のいく納骨の形を選ぶことができます。
ここでは、大谷祖廟がどのような場所なのか、なぜ多くの門信徒がここに納骨を願うのか、その理由を紐解いていきます。永代供養や一般墓との違いも明確にし、ご自身やご家族にとって最適な選択ができるようお手伝いします。
親鸞聖人が眠る真宗大谷派の御廟所
大谷祖廟(おおたにそびょう)は、京都市東山区に位置する、浄土真宗の宗祖・親鸞聖人が眠る御廟所です。真宗大谷派の本山である東本願寺の飛地境内地にあたり、全国の門信徒にとって非常に大切な聖地とされています。親鸞聖人を慕う多くの人々が、日々参拝に訪れる場所です。
その歴史は古く、親鸞聖人のご遺骨が移されたことに始まります。以来、数多くの門信徒のご遺骨が納められてきました。親鸞聖人のおそばで安らかに眠りたいという願いを叶える場所として、今日まで大切に護り継がれています。
大谷祖廟に納骨する意味と意義
大谷祖廟への納骨は、単にご遺骨を埋葬する行為以上の深い意味を持ちます。門信徒にとって、宗祖である親鸞聖人のおそばに還ることは、この上ない安心と誇りであり、阿弥陀如来の教えに生かされた人生の終着点として非常に重要視されています。
また、大谷祖廟に納骨することで、故人は永代にわたって供養されます。残されたご家族にとっても、故人が由緒ある聖地で安らかに眠っているという事実は、大きな心の支えとなるでしょう。これは、信仰に基づく深い意義を持つ選択なのです。
永代供養や一般墓との違いを解説
大谷祖廟への納骨は、合祀(ごうし)という形で他の方のご遺骨と一緒に納められ、永代にわたって供養されます。個別の墓石を建てて管理する一般墓とは異なり、承継者がいなくても無縁仏になる心配がありません。これは大きなメリットと言えるでしょう。
一般的な永代供養墓とも似ていますが、宗祖のお膝元で供養されるという宗教的な意義に大きな違いがあります。それぞれの特徴を理解し、ご家庭の状況や故人の遺志に合った方法を選ぶことが大切です。
| 種類 | 特徴 | 承継者 |
|---|---|---|
| 大谷祖廟納骨 | 親鸞聖人の御廟所で合祀。永代に供養される。 | 不要 |
| 一般墓 | 個別の墓石を建立。家族単位で承継する。 | 必要 |
| 永代供養墓 | 寺院や霊園が管理・供養。合祀や個別など形式は様々。 | 不要 |
大谷祖廟の納骨費用を種類別に解説

大谷祖廟への納骨を具体的に考える際、最も気になるのが費用面ではないでしょうか。納骨にかかる費用は「納骨懇志(のうこつこんし)」と呼ばれ、ご遺骨の大きさや永代経(えいたいきょう)の種別によって金額が異なります。
ここでは、費用の内訳や相場、分骨と全骨での違い、追加で発生する可能性のある費用について詳しく解説します。事前に「大谷祖廟 納骨 費用」を把握しておくことで、予算計画も立てやすくなり、安心して手続きを進めることができます。
納骨懇志(費用)の内訳と相場
納骨懇志の基本的な金額は20,000円からとなっています。これにご遺骨の大きさに応じた追加懇志や、永代にわたる読経供養である「永代経」の懇志が加わります。骨壺のサイズが高さ15cm・直径9cmを超える場合は、20,000円が加算されるのが一般的です。
永代経懇志にはいくつかの種別があり、懇志額に応じて供養の回数などが異なります。ご自身の予算や故人への想いに合わせて、最適な種別を選ぶことが大切です。詳細は以下の通りです。
- 特別永代経:150,000円以上
- 一種永代経:100,000円以上
- 二種永代経:70,000円以上
- 三種永代経:40,000円以上
- 四種永代経:20,000円以上
分骨と全骨で費用は変わるのか
大谷祖廟では、ご遺骨の一部を納める「分骨」と、すべてを納める「全骨」のどちらも受け入れています。納骨懇志は骨壺のサイズによって決まるため、分骨用の小さな骨壺であれば費用を抑えることが可能です。
例えば、手元供養などで一部のご遺骨を残し、残りを分骨として納めるケースも増えています。ご家庭の事情や供養に対する考え方に応じて、分骨か全骨かを選択できるのは大きな利点と言えるでしょう。
読経など追加でかかる費用について
大谷祖廟での納骨には、基本的に読経が含まれています。そのため、特別な法要を希望しない限り、追加でお布施を用意する必要はありません。決められた納骨懇志をお納めすることで、一連の儀式を執り行っていただけます。
ただし、ご自身の所属寺院(菩提寺)の僧侶に読経を依頼する場合などは、別途お礼が必要になります。どのような形で納骨式を行いたいかによって費用は変わるため、事前に家族や所属寺院と相談しておくと安心です。読経なしの納骨を検討する方もいますが、大谷祖廟では儀式として行われます。
大谷祖廟の納骨手続きと必要書類

大谷祖廟への納骨を滞りなく進めるためには、事前の手続きと必要書類の準備が欠かせません。どこに申し込み、どのような書類を揃えれば良いのかをあらかじめ把握しておくことで、当日になって慌てることがなくなります。
ここでは、申し込みから納骨完了までの具体的な流れと、事前に用意すべき書類の一覧を分かりやすく解説します。「大谷祖廟 納骨 必要書類」について不安がある方も、この項目を読めば安心して準備に取り掛かれるでしょう。
申し込みから納骨完了までの流れ
大谷祖廟への納骨手続きは、順を追って進めれば決して難しいものではありません。まずは公式サイトや電話で問い合わせ、納骨の予約をすることから始めましょう。一般的な流れは以下の通りです。
全体の流れを把握しておけば、次に何をすべきか明確になります。特に納骨のタイミングに決まりはありませんが、ご家族が揃いやすい日を選ぶと良いでしょう。
- 大谷祖廟の事務所へ問い合わせ・予約
- 必要書類(納骨申込書、埋火葬許可証など)の準備
- 納骨当日に参拝接待所にて受付・懇志の納入
- 案内された場所で読経・納骨
- 納骨後の手続き(永代経の申し込みなど)
事前に準備するべき必要書類一覧
納骨の申し込みには、いくつかの書類が必要です。不備がないよう、事前にしっかりと確認し、準備しておきましょう。特に「埋火葬許可証(火葬証明書)」はご遺骨と共に保管されている重要な書類なので、紛失しないよう注意が必要です。
墓じまいをしてご遺骨を移す「改葬」の場合は、役所が発行する「改葬許可証」が別途必要になります。必要な書類が分からない場合は、早めに大谷祖廟の事務所へ問い合わせることをお勧めします。
- 納骨申込書(事務所で受け取るか、公式サイトからダウンロード)
- 埋火葬許可証(または火葬証明書)の写し
- 改葬許可証(墓じまい後の納骨の場合)
- 申込者の本人確認書類(運転免許証など)
納骨申込書の入手方法と書き方
「大谷祖廟 納骨 申込書」は、大谷祖廟の事務所で直接受け取るか、公式サイトからダウンロードして印刷することで入手できます。事前に手に入れておき、ゆっくりと正確に記入する時間を取りましょう。
申込書には、故人の法名(ない場合は俗名)、命日、続柄、申込者の氏名・連絡先などを記入します。書き方に不明な点があれば、空欄のまま持参し、当日に事務所の担当者に確認しながら記入すると間違いがありません。
納骨の予約は必要?方法を解説
大谷祖廟での納骨は、原則として事前の予約が必要です。特に土日祝日や彼岸の時期は混雑が予想されるため、早めに「納骨予約」を済ませておくと安心です。予約なしで訪問しても、長時間待つことになったり、対応してもらえなかったりする可能性があります。
予約は、公式サイトにある「納骨・申経予約ページ」から行うのが便利です。また、電話での予約も受け付けています。受付時間は平日の午前と午後に分かれているため、時間に余裕を持って連絡しましょう。
納骨当日の流れと服装・持ち物

納骨の予約と準備が完了したら、いよいよ納骨当日を迎えます。当日に落ち着いて故人を偲ぶためにも、受付からの流れや、ふさわしい服装、必要な持ち物を事前に確認しておくことが非常に重要です。
ここでは、当日の具体的な動きから服装のマナー、忘れ物がないようにするための持ち物リストまでを詳しくご紹介します。しっかりと準備を整え、心穏やかな気持ちで大切な一日を迎えられるようにしましょう。
参拝接待所での受付から納骨まで
当日はまず、境内にある「参拝接待所」の事務所へ向かい、受付を済ませます。ここで必要書類を提出し、納骨懇志をお納めします。手続きが完了すると、係の方から納骨場所へと案内される流れになります。
ご遺骨は、祖廟の明著堂(みょうちょどう)に安置され、僧侶による読経が行われた後、納骨されます。一連の儀式は厳かな雰囲気の中で執り行われ、故人を偲ぶ大切な時間となるでしょう。
納骨当日にふさわしい服装とマナー
納骨式は法要の一つですので、それにふさわしい服装を心がけましょう。基本的には喪服や準喪服を着用するのが最も丁寧ですが、略喪服としてダークスーツやワンピースでも問題ありません。
大切なのは、故人への敬意を示すことです。派手な色や柄、露出の多いデザインの服は避け、黒や紺、グレーといった落ち着いた色合いでまとめましょう。アクセサリーも結婚指輪以外は外すか、一連のパールのネックレス程度に留めるのがマナーです。
当日に忘れず持っていく持ち物
当日に慌てて忘れ物がないよう、持ち物は前日までにリストアップして確認しておくと安心です。特にご遺骨と「埋火葬許可証」は絶対に忘れてはならないものですので、出発前に必ず確認してください。
その他、納骨懇志(お布施)や数珠、ハンカチなども必需品です。夏場は日傘や水分、冬場は防寒具など、季節に応じた準備もしておくと良いでしょう。
- ご遺骨
- 必要書類(埋火葬許可証の写しなど)
- 納骨懇志(お布施)
- 数珠
- ハンカチ、ティッシュ
- (必要であれば)黒い傘、防寒具など
まとめ:大谷祖廟への納骨の全知識

この記事では、大谷祖廟への納骨に関する費用、手続き、当日の流れなどを網羅的に解説しました。親鸞聖人が眠る由緒ある御廟所への納骨は、多くの門信徒にとって特別な意味を持つ供養の形です。
事前に流れや必要書類を把握し、費用についても理解を深めておけば、不安なく準備を進めることができます。もし不明な点があれば、一人で悩まずに大谷祖廟の事務所へ相談することが、後悔のない納骨への第一歩となるでしょう。
大谷祖廟の納骨でよくある質問

最後に、大谷祖廟への納骨に関して、多くの方が抱く疑問とその回答をまとめました。ここで疑問を解消し、より安心して納骨の準備を進めていきましょう。
宗派の問題や墓じまいしたご遺骨の扱い、生前申し込みの可否など、気になるポイントをQ&A形式で分かりやすく解説します。
真宗大谷派でないと納骨できませんか?
大谷祖廟では、基本的に宗派を問わずどなたでも納骨を受け入れています。親鸞聖人を慕う気持ちがあれば、真宗大谷派の門信徒でなくてもご遺骨を納めることが可能です。
ただし、真宗大谷派の所属寺院(菩提寺)がない場合は、今後の法要などのために新たに所属寺院を決める手続きが必要になることがあります。まずは大谷祖廟の事務所に相談し、どのような手続きが必要か確認してみましょう。
墓じまいした遺骨も納骨できますか?
はい、墓じまい(改葬)によって取り出したご遺骨も、大谷祖廟に納骨することができます。近年では、お墓の承継者問題から墓じまいを選択し、大谷祖廟のような永代供養の場所へ移す方が増えています。
その際には、通常の必要書類に加えて、市区町村が発行する「改葬許可証」が必須となります。墓じまいや改葬の手続きと並行して、大谷祖廟への納骨準備を進めるとスムーズです。
納骨の際に避けるべき服装はありますか?
納骨は大切な法要ですので、Tシャツやジーンズ、サンダルといったカジュアルすぎる服装は避けるべきです。また、赤や黄色などの原色や、きらびやかな装飾、肌の露出が多いデザインも場にふさわしくありません。
男性はダークスーツ、女性は黒や紺のワンピースやアンサンブルといった、準喪服や略喪服を着用するのが無難です。故人とご遺族に失礼のないよう、清潔感のある落ち着いた身だしなみを心がけましょう。
納骨費用を抑える方法はありますか?
納骨費用を少しでも抑えたい場合、いくつかの方法が考えられます。一つは、ご遺骨の一部のみを納める「分骨」にし、小さな骨壺を使用することです。納骨懇志は骨壺のサイズで変わるため、これにより費用を低くできます。
また、永代にわたる供養をお願いする「永代経」の懇志には複数の種別があります。ご自身の予算に合わせて懇志額が低い種別を選ぶことも、費用を抑える一つの方法と言えるでしょう。
生前に自分の納骨を申し込めますか?
はい、大谷祖廟では生前にご自身の納骨を申し込むことが可能です。「生前予約」や「生前契約」として受け付けています。残される家族に負担をかけたくない、自分の終の棲家は自分で決めたいと考える方におすすめです。
終活の一環として、生前の準備を進める方が増えています。詳しい手続きについては、大谷祖廟の事務所へ直接問い合わせてみてください。