「格安葬儀」という言葉に魅力を感じつつも、後から高額な追加料金を請求されたり、サービスの質が低かったりしないか不安に感じていませんか。大切な方との最後のお別れで、お金のトラブルや後悔は絶対に避けたいものです。
この記事では、格安葬儀の仕組みから、よくある追加料金トラブルの具体例、そして後悔しないための葬儀社の選び方までを詳しく解説します。トラブルを避けて賢く葬儀を選ぶためのポイントを知り、心穏やかに故人を見送りましょう。
格安葬儀とは?まず知りたい安さの仕組み

格安葬儀がなぜ費用を抑えられるのか、その背景には葬儀内容の簡素化があります。一般的なお葬式で行われる通夜や告別式といった儀式を省略、または規模を縮小することで、人件費や会場費などを大幅に削減しているのです。
ここでは、格安葬儀が実現できる安さの仕組みと、代表的な葬儀形式の種類や費用相場について具体的に見ていきましょう。予算と故人や遺族の希望に合った形式を見つけるための第一歩です。
なぜ葬儀費用を格安に抑えられるのか
葬儀費用を格安に抑えられる最大の理由は、プラン内容を必要最低限に絞っている点にあります。例えば、通夜を省略して告別式から火葬までを1日で行う「一日葬」や、儀式を行わず火葬のみを行う「直葬(火葬式)」が代表的です。
これにより、式場使用料や人件費、参列者への返礼品や飲食費などを削減できます。宗教的な儀式を簡略化したり省いたりすることで、一般的な葬儀の半分以下の費用で執り行うことも可能になるのです。
代表的な格安葬儀の種類と費用相場
格安葬儀にはいくつかの種類があり、それぞれ費用相場が異なります。最も費用を抑えられるのは、通夜や告別式を行わない「直葬(火葬式)」で、10万円前後から可能です。次いで、通夜を省略する「一日葬」が30万円前後からとなります。
また、ごく近しい身内のみで執り行う「家族葬」も、参列者の人数を絞ることで費用を抑えられます。ただし、プラン内容は葬儀社によって様々なので、何が含まれているかをしっかり確認することが重要です。
| 葬儀の種類 | 内容 | 費用相場 |
|---|---|---|
| 直葬(火葬式) | 通夜・告別式を行わず、火葬のみを行う | 9万円~20万円程度 |
| 一日葬 | 通夜を行わず、告別式と火葬を1日で行う | 30万円~50万円程度 |
| 家族葬 | 家族や親族など親しい人のみで小規模に行う | 40万円~100万円程度 |
格安葬儀で後悔する?よくある追加料金トラブル

「総額10万円」といった広告を見て依頼したのに、最終的な請求額が倍以上になった、というケースは格安葬儀のトラブルとして後を絶ちません。表示されている価格は、あくまで必要最低限のプラン料金であることが多いのです。
ここからは、格安葬儀でよくある追加料金トラブルの具体例を5つご紹介します。どのような項目で費用が追加されやすいのかを事前に知っておくことで、予期せぬ出費を防ぎましょう。
注意点1:プラン外の追加料金が発生する
格安プランの多くは、本当に最低限の項目しか含まれていません。例えば、遺体の状態を保つためのドライアイスや、安置日数が延びた場合の追加料金、遺影写真の作成費用などが別途必要になることがよくあります。
一見安く見えても、必要なものを足していくと結局高額になってしまう可能性があります。特に小さなお葬式の追加料金など、具体的な事例を参考に、見積もりの内訳を細かく確認することがトラブル防止の鍵です。
注意点2:遺体安置料や搬送料が別途必要
ご遺体を安置する場所や日数、そして病院などから安置場所、斎場への搬送費用も注意が必要です。プランに含まれる搬送距離が短く設定されており、超過分は追加料金となるケースは少なくありません。
また、火葬場の空き状況によっては安置日数が数日間に及ぶこともあります。その場合、1日ごとに追加の安置料が発生するため、総額が大きく変わる可能性があることを覚えておきましょう。
注意点3:火葬場の空き状況で費用が変わる
特に都市部では火葬場の予約が混み合っており、希望の日時に火葬できないことが珍しくありません。火葬待ちが長引けば、その分だけご遺体の安置日数が増え、安置料やドライアイスの追加費用が発生します。
これは葬儀社の責任ではないため、遺族が負担することになります。契約前に火葬場の予約状況を確認し、安置費用がどのくらいかかる可能性があるのかを把握しておくことが大切です。
注意点4:スタッフの対応やサービスの質が低い
価格を抑えるために人件費を削っている葬儀社の場合、スタッフの経験が浅かったり、十分な教育がされていなかったりすることがあります。悲しみに暮れる遺族の気持ちに寄り添えない、事務的な対応をされると、故人を偲ぶどころではなくなってしまいます。
安さだけでなく、問い合わせ時の電話対応や相談時の態度などから、信頼できるスタッフかを見極めることも重要です。評判の悪い葬儀社を避けるためにも、スタッフの質にも目を向けるようにしましょう。
注意点5:質素すぎてお別れの時間が足りない
費用を最も抑えられる直葬(火葬式)では、火葬炉の前で数分程度の最後のお別れをするだけで、故人とゆっくり向き合う時間がほとんどありません。「もっとちゃんとお別れすればよかった」と後で後悔する遺族もいらっしゃいます。
安さだけを追求した結果、心の整理がつかないままお別れを迎えることになりかねません。直葬のトラブル事例も参考に、故人や家族にとって本当にその形式で良いのかを、事前によく話し合うことが大切です。
トラブル回避!後悔しない葬儀社の選び方

格安葬儀でのトラブルを避け、心から納得できるお別れをするためには、慎重な葬儀社選びが何よりも重要です。料金の安さという一面的な情報だけで判断するのではなく、複数の視点から総合的に比較検討する必要があります。
ここでは、後悔しないための葬儀社の選び方について、具体的な5つのポイントを解説します。これらのポイントを押さえることで、信頼できる葬儀社を見つけられる可能性が格段に高まります。
必ず複数社から見積もりを取り比較する
葬儀社を選ぶ際は、必ず2~3社から見積もりを取りましょう。1社だけの見積もりでは、その料金やサービス内容が適正なのか判断できません。複数社の見積もりを比較することで、おおよその相場観が掴めます。
また、同じようなプラン名でも、含まれるサービス内容は葬儀社によって異なります。総額だけでなく詳細な内訳まで比較し、費用対効果の高い葬儀社を見極めることが重要です。
見積書に含まれる項目を細かくチェック
見積書を受け取ったら、総額だけでなく、どの項目にいくらかかっているのかを詳細に確認してください。「一式」とまとめられている項目があれば、その具体的な内容を必ず質問しましょう。
特に以下の項目が含まれているか、追加料金になる場合はいくらかかるのかをチェックすることが大切です。
- 遺体安置料(日数分)
- ドライアイス費用(日数分)
- 遺体搬送料(距離や回数)
- 火葬料金
- 骨壷や骨箱
不明瞭な点をなくすことが、後の追加料金トラブルを防ぐ最善策です。
利用者の口コミや評判を必ず確認する
葬儀社の公式サイトに掲載されている情報だけでなく、実際にその葬儀社を利用した人の口コミや評判も重要な判断材料になります。インターネットの口コミサイトや地域の評判などを調べてみましょう。
特に、スタッフの対応や追加料金に関するトラブル、サービスの質についての具体的な体験談は非常に参考になります。良い評判だけでなく悪い評判にも目を通し、総合的に判断することが大切です。
担当スタッフの対応や相性を見極める
葬儀は担当スタッフと密に連携を取りながら進めていくことになります。そのため、スタッフの対応や人柄、自分たちとの相性は非常に重要です。こちらの話を親身に聞いてくれるか、質問に丁寧かつ的確に答えてくれるかを確認しましょう。
悲しみの中にいる遺族に寄り添い、信頼して任せられると感じるスタッフがいる葬儀社を選ぶことが、後悔のないお葬式につながります。電話や事前の相談で、その対応をしっかり見極めてください。
契約前に疑問点をすべて質問しておく
見積もりやプラン内容について、少しでも疑問や不安に思うことがあれば、遠慮せずにすべて質問しましょう。「こんなことを聞いたら失礼かな」などとためらう必要は全くありません。
曖昧な回答をしたり、質問をはぐらかしたりするような葬儀社は信頼できません。すべての疑問がクリアになるまで丁寧に説明してくれる葬儀社を選び、納得した上で契約するようにしてください。
まだある!葬儀費用をさらに安くする方法

葬儀社のプランを賢く選ぶこと以外にも、公的な制度を上手に活用することで、葬儀にかかる経済的な負担をさらに軽減できる場合があります。多くの方が利用できる制度なので、ぜひ知っておきましょう。
ここでは、代表的な2つの公的制度について解説します。これらの葬儀を安くする方法も選択肢に入れ、ご自身の状況に合わせて活用を検討してみてください。
自治体の葬祭費補助金制度を活用する
故人が国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入していた場合、葬儀を行った人(喪主)に対して、自治体から「葬祭費」として補助金が支給されます。支給額は自治体によって異なりますが、おおむね3万円から7万円程度です。
申請には、葬儀の領収書や会葬礼状、故人の保険証などが必要となります。申請しないと受け取れないお金なので、忘れずに手続きを行いましょう。詳しくは、お住まいの市区町村役場の担当窓口にご確認ください。
生活保護の葬祭扶助制度について知る
遺族が生活に困窮しており葬儀費用を支払えない場合や、故人に身寄りがなく遺族以外の人が葬儀を行う場合に、生活保護法に基づく「葬祭扶助」を利用できることがあります。これは国が葬儀費用を負担してくれる制度です。
ただし、支給されるのは火葬に必要な最低限の費用のみで、通夜や告別式といった儀式は行えません。利用には事前の申請と審査が必要なため、まずは地域の福祉事務所に相談することが重要です。
まとめ:格安葬儀は注意点を理解し賢く選ぼう

格安葬儀は、費用を大幅に抑えられるという大きなメリットがある一方で、追加料金トラブルやサービスの質など、事前に理解しておくべき注意点も存在します。安さという言葉だけに惑わされず、その内容をしっかり見極めることが大切です。
後悔しないお別れのためには、複数社から見積もりを取り、サービス内容を細かく比較することが不可欠です。この記事で紹介した格安葬儀の選び方を参考に、故人を偲ぶ気持ちを大切にしながら、ご自身とご家族にとって最適な葬儀社を選んでください。
格安葬儀の注意点に関するよくある質問

最も費用を抑えられる葬儀方法はありますか?
最も費用を抑えられる葬儀方法は、通夜や告別式といった儀式を行わず、火葬のみを執り行う「直葬(ちょくそう)」または「火葬式」です。必要最低限の内容に絞ることで、10万円前後から行うことが可能です。
ただし、故人とゆっくりお別れする時間がほとんどないため、後悔しないよう家族や親族とよく話し合って決めることが重要です。メリットとデメリットを理解した上で選択しましょう。
貯金がなくてもお葬式はできますか?
貯金がない場合でも、お葬式を執り行う方法はあります。まず、葬儀社が提携している「葬儀ローン」を利用する選択肢があります。分割払いが可能なので、一度に大きな負担がかかるのを避けられます。
また、公的な制度として「葬祭費補助金」や「葬祭扶助」などもあります。まずは信頼できる葬儀社や自治体に相談し、利用できる制度がないか確認してみることをお勧めします。
親の葬儀費用は誰が負担するべきですか?
法律上、誰が葬儀費用を負担しなければならないという決まりはありません。一般的には、葬儀を主宰する「喪主」が負担するケースが多いですが、故人の遺産から支払ったり、兄弟姉妹など相続人間で話し合って分担したりします。
後々のトラブルを避けるためにも、誰がどのように負担するのかを事前に家族や親族間でしっかりと話し合っておくことが大切です。故人のエンディングノートなどに意向が記されている場合は、それを尊重するのも良いでしょう。
小さなお葬式が格安なのはなぜですか?
「小さなお葬式」が格安なのは、通夜や告別式を省略したり、プラン内容をあらかじめパッケージ化して必要最低限のサービスに絞り込んだりすることで、運営コストを徹底的に削減しているためです。
全国の提携葬儀社と連携し、設備稼働率を上げることで、一回あたりの費用を抑えています。ただし、基本プランに含まれないサービスは追加料金となるため、見積もりの内容をしっかり確認することが重要です。
公的な葬儀費用の補助金制度はありますか?
はい、あります。代表的なものとして、国民健康保険や後期高齢者医療制度の加入者が亡くなった場合に、喪主に対して支給される「葬祭費補助金」制度があります。支給額は自治体によって異なります。
また、生活保護を受けている方などが利用できる「葬祭扶助」制度もあります。ご自身の状況に合わせて利用できる制度がないか、お住まいの市区町村の役所窓口で確認してみましょう。