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エンバーミングの後悔はなぜ?費用と見た目の疑問を徹底解消

故人様とのお別れに際し、エンバーミングを施したものの「本当にこれで良かったのだろうか」と心に引っかかりを覚えていませんか。高額な費用や、生前とは少し違うお顔立ちに、後悔の念を抱く方は少なくありません。

この記事では、エンバーミングで後悔する理由を深掘りし、その上で基礎知識や費用、メリット・デメリットを詳しく解説します。ご自身の選択を振り返り、心を整理することで、穏やかな気持ちで故人様を偲ぶための一助となれば幸いです。

エンバーミングで後悔する5つの理由

エンバーミングという選択の後、なぜか心に後悔が残ってしまう。その背景には、いくつかの共通した理由が存在します。ご自身の気持ちと照らし合わせながら、後悔の原因を探ってみましょう。

故人の顔が生前と違うと感じたから

エンバーミング後のお顔を見て「生前の面影と違う」と感じ、ショックを受けることがあります。安らかな表情になるよう最大限の配慮がされますが、化粧や修復によってどうしても違和感が生まれるケースも。特に、自然な最期を望んでいた場合、その変化に心を痛めてしまうのです。

元気だった頃の姿を再現しようとする処置が、かえって「作られた表情」に見えてしまうこともあります。故人らしい穏やかなお別れを願っていたのに、という思いが「エンバーミングで顔が変わる」という後悔につながり、深く心に残ってしまうのかもしれません。

高額な費用に見合わなかったから

エンバーミング料金は決して安くなく、10万円以上かかるのが一般的です。慌ただしい葬儀準備の中で、高額な費用とその価値を冷静に判断できなかったと感じることも後悔の一因となります。後になって「ドライアイスでも十分だったのでは」と考えてしまうのです。

葬儀全体の費用が膨らむ中で、エンバーミングの必要性に疑問を抱き始めると、その出費が重くのしかかります。「本当にそれだけの価値があったのだろうか」という思いは、経済的な負担感とともに、ご自身の決断への後悔を増幅させてしまうことがあります。

十分な情報がないまま決断したから

大切な方を亡くし、心身ともに疲弊している中で、葬儀社から勧められるがままに決断してしまうケースは少なくありません。エンバーミングのメリットだけでなく、デメリットや他の選択肢について十分に理解しないまま契約してしまい、後から悔やむことになります。

「もっと時間があれば」「他の方法も検討すればよかった」という思いは、情報不足からくる後悔の典型です。特に、エンバーミングが必要ない状況であった可能性に気づいた時、その決断を深く悔やむ気持ちが生まれてしまうのです。

故人の本当の意思が分からなかったから

生前に終活について話す機会がなく、故人がエンバーミングを望んでいたかどうかが分からない場合、遺族は深い葛藤を抱えます。故人の身体にメスを入れるという処置に対して「本人はどう思っているだろうか」と罪悪感を感じてしまうのです。

良かれと思ってした選択が、故人の意思に反していたのではないかという不安は、大きな心の負担となります。故人の尊厳を守れたのかという問いが、エンバーミングという選択そのものへの後悔へとつながってしまうことは、決して珍しいことではありません。

そもそも必要性がなかったと感じたから

火葬までの日数が短かったり、ご遺体の状態が非常に良好だったりした場合、「そもそもエンバーミングは必要だったのか」という疑問が後から湧いてくることがあります。代替手段で十分対応できたのではないかと感じた時、後悔の念が生まれるのです。

特に、葬儀を終えて落ち着いてから振り返ると、当時は不要な処置に思えてしまうことがあります。「エンバーミングは必要か」という判断基準を知らなかったために、余分なことをしてしまったのではないかという思いが、心のしこりとして残ってしまいます。

後悔しないためのエンバーミング基礎知識

後悔を乗り越え、あるいはこれから判断するために、エンバーミングの基本を正しく理解しておくことが大切です。ここでは、その目的や他の処置との違いを改めて整理し、知識を深めていきましょう。

エンバーミングとは何かを改めて解説

エンバーミングとは、ご遺体に防腐・殺菌・修復を施す「遺体衛生保全」という技術のことです。体内に特殊な薬液を注入し、腐敗を防ぐことで、ご遺体を長期間、衛生的に保つことができます。これにより、故人様は安らかなお姿で、ご遺族は安心して最期のお別れの時間を過ごせます。

単に見た目を整えるだけでなく、感染症のリスクを低減させる重要な役割も担っています。故人の尊厳を守り、遺された家族の心のケアにもつながる、専門的な処置であると理解しておきましょう。エンバーミングのやり方は専門の資格を持つ技術者が行います。

エンゼルケアや湯灌との決定的な違い

エンバーミングと混同されやすい処置に「エンゼルケア」と「湯灌(ゆかん)」があります。エンゼルケアは死後に行われる清拭や身だしなみを整える基本的なケアであり、湯灌は故人のお体を洗い清める儀式的な意味合いが強いものです。

これらの処置とエンバーミングの決定的な違いは、体内に処置を施し、長期的な保全を目的とするかどうかです。以下の表でそれぞれの特徴を比較してみましょう。

処置 目的 内容 長期保全
エンバーミング 遺体衛生保全、長期安置、修復 体内に防腐剤注入、外科的処置 可能(約10日~2週間)
湯灌 清め、儀式 専用の浴槽で洗体、清拭 不可
エンゼルケア 死後の基本的なケア 清拭、着替え、化粧など 不可

遺体の保全と修復という本来の目的

エンバーミングの最も重要な目的は、ご遺体の腐敗を遅らせ、衛生的に保つ「保全」にあります。これにより、火葬場の予約が混み合っている場合や、遠方の親族が駆けつけるまで時間を要する場合でも、安心して故人様と過ごす時間を確保できます。

また、もう一つの大きな目的が「修復」です。闘病生活でやつれてしまったお顔や、事故などで損傷を受けたお体を、可能な限り生前の穏やかなお姿に近づけます。これは、ご遺族が辛い記憶を和らげ、心穏やかに故人様を送り出すための大切な役割を果たします。

日本での普及率とエンバーマーの現状

日本ではまだ馴染みが薄いかもしれませんが、エンバーミングの処置件数は年々増加しています。1995年には約8,400件だったものが、2020年には約42,000件を超え、その需要の高まりがうかがえます。特に都市部での普及が進んでいます。

この専門的な処置は「エンバーマー」と呼ばれる資格を持つ技術者によって行われます。日本ではまだ約160名ほどと少数ですが、故人と遺族に寄り添う専門家として、その重要性は増しています。今後、さらに認知度が高まっていくことでしょう。

エンバーミングのメリットとデメリット

エンバーミングには、心穏やかなお別れを可能にするメリットがある一方、費用や心理的な負担といったデメリットも存在します。両方の側面を理解することで、ご自身の状況に合った後悔のない選択ができます。

穏やかなお顔でゆっくりお別れできる

エンバーミングの最大のメリットは、腐敗や匂いの心配をすることなく、故人様とゆっくりお別れの時間を過ごせることです。生前の安らかなお顔に近い状態が保たれるため、ご遺族は心に余裕を持って、思い出を語り合ったり、感謝を伝えたりできます。

特に、死という現実を受け入れがたい小さなお子様やご高齢の方にとっても、穏やかなお姿の故人様と対面することは、心の負担を軽減する助けになります。安心して故人に触れ、最後の温もりを感じることができるのは大きな利点です。

感染症のリスクを低減できる効果

ご遺体は徹底的に殺菌・消毒されるため、感染症のリスクを大幅に低減できます。これは、故人様が何らかの感染症を患っていた場合に、ご遺族や弔問客を感染の危険から守る上で非常に重要です。安心して故人に寄り添うことができます。

この衛生的な状態は、ご遺族の心理的な安心感にも繋がります。「故人に触れたいけれど、衛生面が心配」という不安を解消し、ためらうことなくキスをしたり、手を握ったりといった愛情表現を可能にしてくれるのです。

遠方への搬送や火葬待ちに対応できる

エンバーミングは、ご遺体を長期間保全できるため、様々な状況に柔軟に対応できます。例えば、火葬場が混み合っていて数日間待たなければならない場合でも、ご自宅で穏やかに安置することが可能です。また、海外など遠方への長距離搬送にも不可欠な処置となります。

航空機での搬送では、安全上の理由からドライアイスの使用が禁止されているため、エンバーミングが必須条件となります。遠方に住む親族が葬儀に参列するための時間を確保できるなど、時間的な制約を乗り越えるための有効な手段と言えるでしょう。

見た目の変化や費用などのデメリット

多くのメリットがある一方で、エンバーミングには考慮すべきデメリットも存在します。これらが後悔の原因となることもあるため、事前にしっかりと把握しておくことが重要です。主なデメリットを以下にまとめました。

  • 高額な費用がかかる(10万円~30万円程度)
  • 化粧や処置により、生前の顔と印象が変わることがある
  • ご遺体にメスを入れることへの心理的な抵抗感
  • 処置のために一時的にご遺体と離れなければならない
  • すべての葬儀社が対応しているわけではない

これらの点を理解し、ご家族でよく話し合うことが、後悔しない選択につながります。葬儀社からの説明を鵜呑みにせず、疑問点は必ず質問するようにしましょう。

エンバーミングが不要なケースとは

エンバーミングは、すべてのご遺体に必須の処置ではありません。例えば、亡くなられてから2~3日以内に火葬を行う場合や、ご遺体の状態が非常に良好な場合は、ドライアイスや保冷庫での安置で十分対応可能です。特に日本では、このケースが一般的です。

また、故人様が生前に「自然な姿のままで」と望んでいた場合や、ご遺体に手を加えることにご家族が強い抵抗を感じる場合も、エンバーミングが不要なケースと言えるでしょう。最終的な判断は、ご遺族の想いを最優先することが大切です。

エンバーミングの費用相場と料金の内訳

エンバーミングを検討する際に、最も気になるのが費用面ではないでしょうか。ここでは、料金の相場やサービスの内訳、追加料金が発生する可能性について解説し、費用に関する不安を解消します。

基本料金に含まれる処置とサービス

エンバーミングの費用相場は、一般的に10万円から30万円程度です。この基本料金には、通常、ご遺体の消毒・防腐処置、損傷の修復、お化粧、お着替えといった一連の処置が含まれています。また、専門施設への搬送や施設使用料も込みになっていることがほとんどです。

ただし、料金体系やサービス内容は業者によって異なります。契約前には必ず見積もりを取り、基本料金にどこまでのサービスが含まれているのかを詳細に確認することが、後々のトラブルや後悔を防ぐために不可欠です。

追加料金が発生するケースに注意する

基本料金とは別に、追加料金が発生する場合がありますので注意が必要です。例えば、事故などによりご遺体の損傷が激しく、特別な修復技術や時間を要する場合は、追加の費用がかかることがあります。また、深夜や早朝の対応、長距離の搬送なども追加料金の対象となることが多いです。

どのような場合に追加料金がかかるのか、事前にリストアップしてもらうと安心です。総額でいくらになるのかを明確にした上で契約を進めることが、予期せぬ出費を防ぎ、納得のいく選択をするためのポイントになります。

ドライアイスでの処置費用との比較

エンバーミングの代替手段として最も一般的なのが、ドライアイスによるご遺体の保冷です。ドライアイスの費用は1日あたり5,000円から10,000円程度が相場で、2~3日の安置であれば総額でも数万円に収まることが多く、エンバーミングと比較して費用を大幅に抑えられます。

ただし、安置期間が1週間以上に及ぶ場合は、ドライアイスの交換費用がかさみ、結果的にエンバーミングの費用に近くなる可能性もあります。安置期間や目的、ご予算を総合的に考慮し、どちらが最適な方法かを判断することが重要です。

エンバーミングの後悔を乗り越えるには

一度下した決断への後悔は、心を重くするもの。しかし、その感情と向き合い、考え方を変えることで、少しずつ気持ちを軽くしていくことができます。ここでは、後悔を乗り越えるためのヒントをご紹介します。

決断したご自身の状況を振り返る

まずは、エンバーミングを決断した当時の状況を冷静に振り返ってみましょう。大切な方を亡くした直後で、心身ともに余裕がなく、限られた時間の中で最善を尽くそうとしていたのではないでしょうか。その状況下での判断を、今の落ち着いた視点から責める必要はありません。

誰もが完璧な選択ができるわけではありません。情報が不足していたり、精神的に追い詰められていたりする中で、故人様のために一生懸命考えた結果であることを認め、そんなご自身を労ってあげることが、後悔から抜け出す第一歩です。

故人を想う気持ちが何よりも大切

エンバーミングをするかしないか、その選択の方法よりも、根底にある「故人を大切に想う気持ち」が最も尊いものです。穏やかな姿で見送ってあげたい、安らかに眠ってほしいという愛情があったからこその決断だったはず。そのお気持ちは、きっと故人様に届いています。

選択の結果、少し違和感を覚えてしまったとしても、あなたの深い愛情が消えるわけではありません。方法論に囚われず、故人様への想いそのものに目を向けることで、心が少し楽になるかもしれません。

後悔は故人を深く想っている証拠

「もっとこうしてあげればよかった」という後悔の念は、それだけ故人様を深く愛し、大切に想っていた証拠です。どうでもいい相手であれば、後悔という感情は生まれません。後悔の大きさは、愛情の深さと比例しているのです。

ですから、ご自身を責めるのではなく「私はこんなにもあの人を想っていたんだ」と、その愛情の深さを再認識する機会と捉えてみてください。後悔の感情を、故人様との絆の証として受け止めることで、見え方が変わってくるはずです。

これからの供養で想いを伝えていく

過去の選択を変えることはできませんが、これからの行動で故人様への想いを伝え続けることはできます。お墓参りや仏壇に手を合わせる時、心の中で語りかけるなど、あなたらしい方法で供養を続けていくことが何より大切です。後悔の念も、故人様に正直に打ち明けてみましょう。

供養とは、遺された者が故人との対話を続け、絆を再確認していく営みです。エンバーミングの必要性について改めて考えることも、故人様と向き合う一つの形です。エンバーミングの必要性について詳しく知ることで、ご自身の選択をより深く理解できるかもしれません。

まとめ:故人を想うあなたの選択に間違いはない

エンバーミングに対する後悔は、費用の問題や見た目の変化、情報不足など様々な理由から生じます。しかし、その根底にあるのは、故人様を深く想うがゆえの「もっと良いお別れができたはず」という愛情深い気持ちです。

大切なのは、選択の結果を悔やみ続けることではありません。あなたが故人様のために悩み、考え、下した決断そのものが尊いのです。どうかご自身を責めず、これからの供養を通じて、変わらぬ想いを故人様に伝え続けていってください。

エンバーミングに関するよくある質問

エンバーミングをすると遺体はどのくらい持ちますか?

適切な環境下であれば、一般的に10日から2週間程度は安らかな状態を保つことが可能です。ただし、ご遺体の状態や安置される場所の温度・湿度によって期間は変動します。

エンバーミングの基本料金はいくらくらいですか?

費用相場は10万円から30万円程度が一般的です。ご遺体の状態や修復の度合い、依頼する業者によって料金は異なりますので、事前に詳細な見積もりを取ることを強くお勧めします。

エンバーミングの主なデメリットは何ですか?

主なデメリットとしては、高額な費用がかかること、ご遺体にメスを入れるなど外科的な処置を行うことへの心理的抵抗感、そして化粧などによって生前とはお顔の印象が変わる可能性があることなどが挙げられます。

エンバーミングを施された有名人はいますか?

海外では、マイケル・ジャクソンさんやマリリン・モンローさんなどがエンバーミングを施されたことで知られています。日本では公にされることは稀ですが、著名な方々が利用されるケースもあります。

日本でのエンバーミングの普及率はどのくらいですか?

明確な普及率のデータはありませんが、日本での処置件数は年々増加傾向にあり、2020年には年間で約42,760件が実施されました。特に都市部を中心に、その認知度と需要は高まっています。

  • この記事を書いた人

浅田 尚行

「終活を身近に」を目標に掲げ、ライフエンディングに関するあらゆる疑問や不安を解消し、メリットやデメリットを分かりやすくお伝えすることで、新たな一歩を後押ししています。誰もが安心して未来を考えられるよう、わかりやすさと心に寄り添う情報提供を大切にしています。【資格:終活ガイド資格1級、3級ファイナンシャル・プランニング技能士】

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