葬儀の準備・基礎知識

エンバーミングは必要ない?メリット・デメリットを解説【遺体衛生保全】

エンバーミング葬儀や火葬までの期間が伸びてしまった場合の施されるエンバーミング。果たして必要なのか、それとも不要なのか。メリット・デメリットと併せて解説します。

「葬儀社からエンバーミングを勧められた」という方は特にご参考になさってください。

エンバーミングとは

日本ではエンバーミングのことを遺体衛生保全とも呼びます。エンバーミングは、ご遺体の長期保存を行えるよう処置する技術です。

具体的には、消毒・殺菌・防腐処置、場合によっては修復も行い、50日近くご遺体の保存が可能になります。

  1. 消毒・殺菌
    感染症の原因となる病原菌・ウイルスの有無にかかわらず、危険な感染を防ぐために、ご遺体の消毒・殺菌を行います。
  2. 腐敗の防止
    ご遺体は、死後すぐに体内から腐敗が進むので、できるだけ早く薬剤で腐敗防止を行わなければなりません。処置を施すことにより、臭いもほとんど感じられなくなります。
  3. 修復・化粧
    処置を施すことにより、生前の安らかなお顔を取り戻し、故人に対してご遺族の心にいい思い出を残せるようになります。
  4. 心ゆくまでのお別れ
    衛生的に安全となったご遺体と心ゆくまでゆっくりとお別れできます。10日から2週間程度は安全に保たれます。

引用:一般社団法人 日本遺体衛生保全協会

アメリカでは土葬を行う関係上、感染症の蔓延対策のためにも行われるため、8割~9割の方が利用されています。

日本では埋葬方法のほとんどが火葬であることから、エンバーミングを施す方は少数派です。

エンバーミングが必要な場合は?

注意点

エンバーミングは以下のような場合に必要です。

  • 性能のしっかりした安置室がない場合
  • ご自宅での長期安置を希望される場合

低い温度を維持できる安置室でなければ季節によってはすぐに腐敗してしまいます。また、ご自宅で長期的に(10日間など)安置する場合や暖房の季節、猛暑の季節にも腐敗の可能性が高いです。

ご自宅での安置の場合は、日数分のドライアイスを用意できれば問題ないようですが、腐敗の心配がある場合にはよく葬儀社とご相談の上、エンバーミングを検討しましょう

エンバーミングを施すメリット

エンバーミングを施すメリットを紹介します。

メリット

  • 長期保存が可能
  • 感染症対策
  • 元気な姿に戻せる

メリット1:長期保存が可能

エンバーミングを施すことによって、最大で50日近く保存できます。

ゆとりを持って予定を組めるので、精神的にも落ち着くかと思います。遠方に親族がいらっしゃる場合も待つことができるので、身体的にも余裕を持てます。

心穏やかに落ち着いてお見送りできることは大きなメリットになります。

メリット2:感染症対策

エンバーミングは感染症の対策にもなります。

エンバーミング処置を施した遺体からは感染症を引き起こす病原菌の数が激減しているという結果が 示すごとく、エンバーミングは医師・看護師などの医療スタ ッフやご遺族を感染症から守る最善の策です

引用:一般社団法人 日本遺体衛生保全協会

  • 結核
  • インフルエンザ
  • 肺炎
  • HIV・エイズ

以上のような感染症に対する消毒や殺菌を行うため、親族やお子様が安心してお顔や手などご遺体に触れられます。

メリット3:元気な姿に戻せる

エンバーミングは「修復」も行われます。闘病などで疲れ切った状態や損傷した箇所を修復するので、生前の元気な姿に戻すことが可能です。

元気な姿で最後までお見送りできるため、親族や参列者は気持ちよくお見送りできるでしょう。

エンバーミングを施すデメリット

エンバーミングを施すデメリットを紹介します。

デメリット

  • お金がかかる
  • 処置に時間がかかる
  • ご遺体にメスを入れる

デメリット1:お金がかかる

エンバーミングを施すにはもちろんお金がかかります。相場はおおよそ10万~20万円前後と高額です。

長期保存が必要な状況でない限りはエンバーミングは必要ではないので、葬儀費用を抑えたい方は必要ないかと思います。

デメリット2:処置に時間がかかる

エンバーミングを専門で行う「エンバーマー」と呼ばれる人がいます。エンバーマーのいる専門の施設で施術を行わなければならないため、移動や施術の時間がかかってしまいます

エンバーミングを行える施設も多くなく、2021年2月時点で東京都には10箇所のみです。処置を施すタイミングによっては予約が重なってしまい時間がかかる場合あるでしょう。

デメリット3:ご遺体にメスを入れる

エンバーミングの施術の際に、お身体にメスを入れます(切開等)。

処置に必要な血管の確保および体腔の防腐のために最小限の切開を行い、処置後に縫合・修復すること

引用:一般社団法人 日本遺体衛生保全協会

そのことに抵抗がある親族の方もいらっしゃると思うため、親族同士でよくお考えになってから、エンバーミングを行うかそれとも不要か検討したほうがいいでしょう。

【結論】エンバーミングは必要ない(例外あり)

アメリカなど海外では国土が広いので、ご遺体を長期保存しておかなければいけないためエンバーミングが普及しています。

しかし国土の狭い日本においては、ご臨終から火葬までの期間がそれほど長くないため、長期保存をする必要はありません

実際に葬儀社の方も「エンバーミングは不要」とおっしゃっている方もいます。

腐敗防止の為に15万円かかると言われたらエンバーミングです。

腐敗防止には必要ない!!!!

弊社では2週間お預かりする場合もありますが全く問題ないです。亡くなった時からそのままを維持できます。ちなみに匂いもしません。

引用:お葬式の杉浦本店

エンバーミングを施すことで50日近い長期保存が可能になりますが、火葬が一般的である日本においては不要かもしれません。

もちろんエンバーミングを施すことでのメリットはあるので、周囲や葬儀社の方とよく相談して決めることをおすすめします。

メリット

  • 長期保存が可能
  • 感染症対策
  • 元気な姿に戻せる

デメリット

  • お金がかかる
  • 処置に時間がかかる
  • ご遺体にメスを入れる
  • この記事を書いた人

浅田 尚行

「終活を身近に」を目標に、ライフエンディングに関わる疑問やメリット・デメリットを分かりやすく伝える活動をしています。終活ガイド資格1級、3級ファイナンシャル・プランニング技能士

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