
身内の不幸は突然やってきます。悲しみに明け暮れていたとしても、金銭的な事など現実にも目を向けなくてはなりません。
そんな時にも、活用できる給付金制度を知っておくと安心です。このページでは、葬儀費用の基本と給付金制度について紹介していきます。
給付金制度とは?

大切な方が亡くなられた後、ご遺族は悲しみの中で葬儀の準備や手続きを進めることになります。その際、精神的な負担だけでなく、葬儀費用の金銭的な負担も大きくなりがちです。
しかし、ご安心ください。日本には、葬儀にかかる費用の一部を補助してくれる公的な給付金制度が整備されています。この制度を適切に活用することで、経済的な負担を軽減することが可能です。
給付金制度は、故人様が加入されていた健康保険の種類に応じて、自治体や各保険組合から葬儀費用の一部が支給される仕組みです。所定の手続きを行うことで受け取れます。
給付金は誰が受け取れる?
葬儀に関する給付金を受け取れるのは、主に葬儀を執り行った方やその費用を実際に負担した方です。故人様との関係性によって対象者が異なります。
具体的には、故人様と生計を同じくしていたご家族や、喪主を務めた方などが該当します。申請前にご自身の状況が支給要件を満たしているか確認することが大切です。
受け取れる人は、以下のとおりです。
- 葬儀を執り行った方(または葬儀の費用を負担した方)
- 被保険者(故人)の家族で埋葬を執り行った方
このことから、主に喪主や故人様のご家族が給付金の受給対象となります。申請は、葬儀を行った日の翌日から2年以内という期限が設けられていますのでご注意ください。
受け取れる条件は?
葬儀に関する給付金を受け取るためには、故人様が亡くなる前に公的な健康保険制度に加入していたことが最も重要な条件となります。これにより、給付の対象となるかが決まります。
また、申請手続きの際には、故人様が使用されていた保険証(保険資格喪失の手続きを終えた後でも)が必要となる場合があります。大切に保管し、紛失しないよう注意しましょう。
給付金を受け取る条件として、故人様が生前に健康保険に加入していることが必要です。
給付金を受け取れる条件

故人様が加入されていた健康保険の種類によって、支給される金額、申請先、そして申請期限が大きく異なります。
ここでは、代表的な「国民健康保険」「社会保険」「国家公務員共済組合」の3つのケースに分けて、それぞれの給付金制度の具体的な条件と内容を詳しくご説明します。
給付金を受け取るには、故人様がどの健康保険や共済組合に加入していたかによって、適用される給付金制度や受け取れる条件が異なります。
以下の項目で、それぞれの制度について詳しくご紹介しますので、ご自身の状況に合うものをご確認ください。
故人が「国民健康保険」に加入していた
故人様が国民健康保険、国民健康保険組合、または後期高齢者医療制度に加入されていた場合、「葬祭費給付金制度」が適用されます。
この制度は、葬儀を執り行った方に対し、自治体から費用の一部が支給されるものです。申請先は故人様が住民票を置いていた市区町村役場となります。
被保険者(故人)が「国民健康保険」「国民健康保険組合」「後期高齢者医療制度」に加入していた場合に支給される給付金を葬祭費給付金制度といいます。
| 支給される金額 | 3万円から最大7万円(自治体により異なる) |
| 申請できる場所 | 故人の住民票がある市区町村役場(国民健康保険課) |
| 申請期限 | 葬儀を行った日の翌日から2年以内 |
葬祭費の給付は、お通夜や告別式を行わず火葬のみの場合でも申請可能な自治体が多いです。ただし、一部自治体では判断が異なる場合があるため、事前に確認することをおすすめします。
また、故人様が国民健康保険の資格を喪失してから3か月以内に亡くなり、社会保険から埋葬料が支給される場合は、国民健康保険からの葬祭費は支給されませんのでご注意ください。
故人が「社会保険」に加入していた
故人様が会社などの社会保険(健康保険)に加入されていた場合、「埋葬料給付金制度」が適用されます。この制度は、故人様が被保険者であった場合や、その扶養家族が亡くなった場合に利用できます。
埋葬料は、葬儀を執り行った方(埋葬を行った方)に対して支給されるもので、全国一律で定額5万円が支給されます。申請は所轄の保険事務所で行います。
被保険者(故人)が「会社などの健康保険(社会保険)」に加入していた場合に支給される給付金を埋葬料給付金制度といいます。
| 支給される金額 | 5万円(定額) |
| 申請できる場所 | 所轄の保険事務所 |
| 申請期限 | 葬儀を行った日の翌日から2年以内 |
埋葬料は、定額5万円が支給される制度であり、実費精算ではありません。健康保険組合によっては、付加給付として増額される場合もありますので確認しましょう。
故人様が被保険者であった場合だけでなく、健康保険の扶養に入っているご家族が亡くなった場合も支給の対象となります。詳細は加入していた健康保険組合にご確認ください。
故人が「国家公務員共済組合」に加入していた
故人様が国家公務員共済組合に加入されていた場合も、葬儀に関する給付金制度が利用可能です。この制度は、健康保険における埋葬料と同様の位置付けです。
基本的には健康保険の埋葬料と同様に5万円が支給されますが、加入している共済組合によっては、付加給付が上乗せされることがあります。詳細は各組合にご確認ください。
被保険者(故人)が「国家公務員共済組合」に加入していた場合に支給される給付金を葬祭費給付金制度といいます。
| 支給される金額 | 5万円(組合により付加給付あり) |
| 申請できる場所 | 故人が加入していた各共済組合 |
| 申請期限 | 葬儀を行った日の翌日から2年以内 |
支給される金額は、組合の規約によって異なります。付加給付がある場合でも、一般的に27万円のような高額支給は稀ですので、必ず加入先の各共済組合にご確認ください。
国家公務員共済組合連合会(KKR)では、組合員及び年金受給者とそのご家族(3親等以内)が葬儀を手配する際、基本祭壇料が割引となる契約を全国約200社の葬祭業者と締結しています。引用:国家公務員共済組合連合会
身近に給付金を申請できる人がいない場合は?

故人様が亡くなられた際、ご遺族や親族がいない、あるいは生計を維持する関係ではなかった方が葬儀費用を負担するケースも少なくありません。
このような場合でも、葬儀費用の一部を補助してもらえる給付金制度がありますので、ご安心ください。ここでは、その制度について詳しく解説いたします。
これまでご紹介した3種類の給付金制度は、故人様と生計を維持する関係にあったご家族が主な受給対象となります。
「生計を維持されていた方」とは、被保険者によって生計の全部又は一部を維持されている方であって、民法上の親族や遺族であることは問われません。また、被保険者が世帯主であるか、同一世帯であるかも問われません。引用:全国健康保険協会
しかし、もし故人様と生計を維持する関係ではない方が、やむを得ない事情で葬儀費用を負担した場合でも、「埋葬費給付金制度」を利用できる可能性があります。
この「埋葬費給付金制度」は、故人様と生計を維持する関係ではなかった方が葬儀費用を支払った場合に申請できるものです。埋葬料とは異なり、実際に要した費用が補助されます。
具体的には、5万円を上限として、埋葬にかかった実費分が支給される制度です。申請期限は葬儀を行った日の翌日から2年以内となりますので、ご注意ください。
| 支給金額 | 5万円を上限に埋葬にかかった実費分 |
| 申請できる場所 | 所轄の保険事務所 |
| 申請期限 | 葬儀を行った日の翌日から2年以内 |
埋葬費給付金制度とは、被保険者本人が死亡した場合で、被扶養者など埋葬料の申請ができる人(埋葬料支給の対象者)がいないとき、実際に埋葬を行った人に支給される埋葬にかかった費用をいいます。故人の死亡日から2年以内に申請を行う必要があります。引用:よりそうお葬式
給付金の申請方法は?

葬儀に関する給付金は、故人様が加入されていた健康保険の種類によって申請先や手続きの方法が異なります。
スムーズに給付金を受け取るためには、事前に必要な書類や手続きの流れを正確に把握しておくことが重要です。ここでは、一般的な申請方法について解説します。
給付金の申請前に「保険証の資格紛失の手続き」が必要
給付金を申請する前に、まず故人様が加入していた健康保険の資格喪失手続きを完了させる必要があります。
この手続きは、故人様が亡くなられてから14日以内に行うのが原則とされていますので、早めに済ませておきましょう。
故人が亡くなった後にする給付金の申請は、保険証の資格紛失の手続きを済ませた後に申請可能となります。
給付金の申請に必要なもの
給付金の種類や申請先(自治体、健康保険組合など)によって、必要となる書類には多少の違いがあります。
しかし、一般的に多くの給付金申請で共通して必要とされるものは以下の通りです。事前に確認し、漏れがないように準備しておきましょう。
給付金ごとに必要なものは異なりますが、基本的には以下のものが必要になります。
申請に必要なもの
- 申請書
- 故人の保険証(返納するため)
- 口座情報のわかるもの
- 印鑑
葬儀費用の給付金まとめ

このページでは、故人様が加入されていた健康保険の種類に応じて、様々な葬儀費用給付金制度があることをご紹介しました。
それぞれの給付金制度で申請方法や必要な書類、そして申請期限が異なります。受け取り忘れがないよう、早めに手続きを進めることが重要です。