
新しい生活様式として注目を集めている「オンライン葬儀」。新型コロナウイルスの流行をきっかけに急速に普及した、比較的新しい葬儀の形です。遠方に住んでいる、あるいは事情があって参列できない方でも故人様とのお別れができます。
この記事では、オンライン葬儀のメリット・デメリットから、具体的な流れや費用、よくある疑問まで詳しく解説します。これからオンライン葬儀を検討する方にとって、知っておきたい情報を網羅しているので、ぜひ参考にしてください。
オンライン葬儀とは?
オンライン葬儀とは、インターネットを通じて葬儀の様子をライブ配信し、遠隔地からでも参列できるようにした新しい葬儀形式です。パソコンやスマートフォンを使い、自宅など好きな場所から故人様とのお別れの時間を共有できます。
もともとは遠方に住んでいて参列が難しい親族のために考案されました。葬儀の様子や僧侶の読経を映像で視聴することで参列し、訃報の連絡などもオンラインで行います。実施にはインターネット環境と、親族からの理解が不可欠です。
オンライン葬儀のメリット

オンライン葬儀には、従来の葬儀にはない多くの利点があります。場所や時間、身体的な制約を超えて参列できるのが最大の魅力です。これにより、これまでお別れを諦めていた方も、故人様を偲ぶ機会を得られるようになりました。
また、感染症対策としても非常に有効です。多くの人が集まる状況を避けられるため、参列者全員が安心して故人様を見送れます。服装やマナーの負担が軽減される点も、現代の要望に合ったメリットといえるでしょう。
インターネット環境があればどこからでも参列できる
オンライン葬儀の最大のメリットは、インターネット環境と通信機器さえあれば、世界中のどこからでも参列できる点です。遠方にお住まいの方や、仕事の都合がつきにくい方でも、葬儀の時間に合わせて故人様とのお別れができます。
また、高齢や病気、妊娠中などで移動が難しい方、感染症のリスクが心配な方にも最適な選択肢です。実際に会場へ足を運ばずに済むため、密集状態を避けられ、安心して故人様を偲ぶことに集中できるでしょう。
服装やマナーの負担が少ない
自宅などから参列するオンライン葬儀では、服装やマナーに過度に気を遣う必要がありません。急な訃報で喪服の準備が間に合わない場合や、手元にない場合でも気軽に参加できるのは大きな利点です。焼香などの作法も画面越しになるため、心配は不要です。
ただし、双方向で映像が繋がる形式の場合は注意が必要です。故人様やご遺族への敬意を表すため、落ち着いた色合いの服装を心がけるなど、最低限の配慮は忘れないようにしましょう。あくまでも厳粛な儀式であることを意識することが大切です。
社会的な状況に左右されずに執り行える
オンライン葬儀は、感染症の流行や自然災害といった不測の事態においても、中止や延期のリスクが低いという強みがあります。社会的な状況によって多くの人が集まることが難しい場合でも、葬儀を執り行い、故人様を見送ることが可能です。
これにより、ご遺族は予定通りに故人様とのお別れの儀式を進められます。また、参列者側も、外部の状況を気にすることなく、安全な場所から安心して参加できるため、精神的な負担が軽減されるでしょう。
オンライン葬儀のデメリット

多くのメリットがある一方で、オンライン葬儀にはいくつかのデメリットも存在します。特に、比較的新しい葬儀形式であるため、親族や周囲の方々からの理解を得るのが難しい場合があります。従来の葬儀を重んじる方には、抵抗感を示されるかもしれません。
また、技術的な側面も課題となります。安定したインターネット環境が必須であり、通信トラブルのリスクも考慮しなければなりません。故人様と直接対面できないことから、お別れの実感が湧きにくいと感じる方もいるでしょう。
親族からの理解を得るのが難しい場合がある
オンライン葬儀は、インターネットを介した新しい形式のため、従来の葬儀に慣れ親しんだご親族からは、なかなか受け入れられにくい場合があります。「直接お別れをしたい」という想いが強い方ほど、抵抗を感じる可能性が高いでしょう。
しかし、新型コロナウイルスの流行以降、人々の価値観も変化しつつあります。やむを得ない事情で参列できない方への配慮として、オンラインという選択肢が理解されるケースも増えてきました。事前に丁寧に説明し、同意を得ることが重要です。
インターネット環境が必須となる
オンライン葬儀に参列するには、安定したインターネット環境と、パソコンやスマートフォンなどの通信機器が不可欠です。特にご高齢の親族の中には、インターネットの操作に不慣れな方もいるため、事前のサポートが必要になる場合があります。
また、ライブ配信という特性上、通信回線の状況によっては映像や音声が途切れるリスクもゼロではありません。大切な儀式の最中に接続が中断してしまう可能性も考慮しておく必要があります。葬儀社がどのような配信環境を提供しているか確認しましょう。
オンライン葬儀の流れ

オンライン葬儀は特殊な形式に思えますが、基本的な進行は通常の葬儀と大きく変わりません。ご逝去から納棺、火葬といった一連の儀式は、これまで通り執り行われます。オンライン要素が加わるのは、主に通夜や告別式での参列方法です。
ここでは、葬儀社への依頼から当日の儀式まで、オンライン葬儀がどのような手順で進められるのかを解説します。事前に流れを把握しておくことで、落ち着いて準備を進められるでしょう。初めての方でも安心して臨めるよう、分かりやすく説明します。
①葬儀社に依頼
まず、依頼を検討している葬儀社がオンライン葬儀に対応しているかを確認する必要があります。葬儀社の公式サイトに対応プランが掲載されていることもありますが、配信設備やサポート体制が異なるため、直接問い合わせるのが確実です。
どの葬儀社に依頼すれば良いか分からない場合は、オンライン葬儀に対応した葬儀社を検索できる比較サイトを活用すると便利です。複数の葬儀社の特徴や料金を比較検討することで、ご自身の要望に合った一社を効率的に見つけられます。
②事務的な手続き
ご逝去後の事務的な手続きは、通常の葬儀と全く同じです。病院で亡くなった場合は「死亡診断書」、ご自宅などで亡くなった場合は「死体検案書」を医師から受け取ります。この書類は後の手続きで必ず必要になるため、大切に保管してください。
次に、死亡診断書(死体検案書)を添付して役所に「死亡届」を提出し、「火葬許可証」を発行してもらいます。これらの手続きは、通常、葬儀社が代行してくれることが多いので、依頼する際に確認しておくと安心です。
③親族に確認をとる
オンライン葬儀を執り行うことを決めたら、必ず事前に親族へ連絡し、了承を得ることが大切です。その際、参列に必要なインターネット環境やパソコン、スマートフォンなどの通信機器が整っているかも合わせて確認しておきましょう。
訃報の連絡方法は、従来の電話や書状に加え、メールやSNSを利用するケースもあります。葬儀社によっては専用の訃報作成・通知システムを提供している場合もあるため、どのような方法で知らせるか、事前に相談しておくとスムーズです。
④オンライン葬儀の開始
葬儀当日の喪主やご遺族の動きは、基本的に一般的な葬儀と変わりません。会場で僧侶の読経や儀式の進行に合わせて故人様を見送ります。参列者は、事前に共有されたURLなどから配信画面にアクセスし、遠隔で儀式の様子を見守ります。
葬儀後の会食(お斎)は省略されるのが一般的ですが、オンラインで参加者をつなぎ、画面越しに会食の場を設けるケースもあります。それぞれの形で故人様を偲び、思い出を語り合う時間を持つことが可能です。
⑤納棺・火葬・収骨
故人様をお棺に納める「納棺の儀」や、火葬場での「火葬」、そしてご遺骨を骨壷に納める「収骨」といった一連の儀式は、オンライン葬儀であっても通常通り執り行われます。これらの儀式はごく近親者のみで執り行うのが一般的です。
オンライン配信の対象となるのは、主にお通夜や告別式といった儀式の部分です。故人様との物理的なお別れの儀式は、従来の方法と変わらないことを理解しておきましょう。ご遺族が心を込めて故人様をお見送りする大切な時間となります。
オンライン葬儀の費用

オンライン葬儀の費用は、従来の葬儀費用に加えて、配信機材やスタッフの人件費などの「オンライン対応費用」が上乗せされるのが一般的です。そのため、必ずしも葬儀費用を安くする方法とは限りません。しかし、参列者が減ることで会食や返礼品の費用を抑えられる側面もあります。
最終的な葬儀費用は、葬儀の規模や内容によって大きく変動します。一般的な葬儀費用の相場と比較しながら、どのような項目に費用がかかるのかを把握し、予算に合ったプランを検討することが重要です。
| 一般的な葬儀 | オンライン葬儀 | 備考 | |
| オンライン対応費用 | ☓ | ◯ | 葬儀社に要問合せ |
| 会場費用 | ◯ | ◯ | 一般的には10万円前後 |
| 祭壇費用 | ◯ | ◯ | 祭壇は30万~60万 生花は20万前後 |
| お布施 | ◯ | △ | 読経をお願いする場合はお布施が必要 |
| 会場返礼品・香典返し | ◯ | △ | 参列してもらい香典を受け取る場合は必要 |
| 会食費用 | ◯ | ☓ | 会食しない場合でも僧侶に御膳料は払う |
お布施や香典の扱いは、ご遺族の意向によって異なります。もしオンラインで香典を受け付け、僧侶に読経も依頼する場合は、その分の費用が発生します。葬儀の規模や内容によっては、最終的な費用が一般的な葬儀と大きく変わらない可能性も十分に考えられます。
オンライン葬儀のQ&A

オンライン葬儀はまだ新しい形式のため、多くの方がさまざまな疑問や不安を抱えています。「知らない人に見られてしまうのでは?」「香典はどうすればいいの?」といった声も少なくありません。こうした疑問は事前に解消しておくことで、安心して当日を迎えられます。
このセクションでは、オンライン葬儀に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。プライバシーの保護や焼香の可否、高齢者への配慮など、気になるポイントを一つひとつ解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
他の人に葬儀は見られない?
ご安心ください。オンライン葬儀の配信は、ほとんどの場合、限られた人だけが視聴できる限定公開形式で行われます。葬儀社から喪主様に専用のURLやパスワードが送られ、それを参列してほしい方にのみ共有する仕組みです。
そのため、インターネット検索などで無関係の第三者が葬儀の様子を閲覧することは基本的にありません。ただし、プライバシー保護のため、共有されたURLやパスワードをSNSなどで安易に公開しないよう、取り扱いには注意が必要です。
焼香はできる?
オンラインでの参列となるため、物理的に焼香を行うことは困難です。画面の前で手を合わせ、心の中で故人様への祈りを捧げる形が一般的となります。葬儀社によっては、CGなどで焼香の様子を表現するサービスを提供している場合もあります。
もし直接焼香をしたいという要望が強い場合は、後日、ご自宅へ弔問に伺うなどの方法を検討しましょう。最近では、ドライブスルー方式で焼香ができるサービスを提供する葬儀社も登場しており、新しい弔いの形が模索されています。
高齢の親族でもセッティングは簡単?
インターネットやスマートフォンの操作に慣れている方であれば、指定されたURLをクリックするだけで簡単に参列できる場合がほとんどです。しかし、ご高齢の親族など、デジタル機器の操作に不慣れな方にとっては、設定が難しく感じられるかもしれません。
そのような方には、ご家族が事前に電話などで操作方法を丁寧に説明してあげるなどのフォローが大切です。葬儀社によっては、参列者向けのサポート窓口を設けている場合もあるので、事前に確認しておくとより安心です。
香典・供物はどうする?
ご遺族が香典を辞退されていない場合は、いくつかの方法で送ることができます。現金書留で喪主様のご自宅へ郵送するのが最も一般的な方法です。また、葬儀社によっては銀行振込やクレジットカードによるオンライン決済システムを用意している場合もあります。
供物や供花を送りたい場合は、葬儀を執り行っている葬儀社に直接問い合わせるのが確実です。たとえ参列できない場合の香典であっても、弔意を示す方法は様々ありますので、ご遺族の意向を確認しながら対応しましょう。
オンライン葬儀は後で見られる?
葬儀の様子を後から見返せるかどうかは、利用する葬儀社のサービス内容によって異なります。ライブ配信だけでなく、一定期間、録画映像を視聴できる「アーカイブ配信」に対応している葬儀社も増えています。
当日の都合がつかずライブ配信を視聴できなかった方や、もう一度ゆっくり故人様を偲びたい方にとって、アーカイブ配信は非常にありがたいサービスです。後からの視聴が可能かどうか、依頼する際に必ず葬儀社に確認しておきましょう。
まとめ
- オンライン葬儀はコロナ禍をきっかけに普及した新しい葬儀形式
- 参列には安定したインターネット環境と通信機器が必須
- 費用は配信料が加わるが、会食費などが抑えられる場合もある
オンライン葬儀は、新型コロナウイルスの流行を機に広く知られるようになった、比較的新しい葬儀の形です。従来の形式とは異なるため、親族からの理解を得るための丁寧な説明が欠かせません。事前にメリットとデメリットをしっかり伝えましょう。
費用面では必ずしも安くなるとは限りませんが、遠方で参列を諦めていた方や、感染症対策を重視する方にとっては非常に有効な選択肢です。故人様とのお別れを大切にしたいという想いを、時代に合った形で実現する方法といえるでしょう。