ご家族が亡くなられて間もない中、葬儀の手配を進めていると、さまざまな事情で「キャンセルしたい」と考えることがあるかもしれません。しかし、一度依頼した葬儀をキャンセルできるのか、高額な費用を請求されないかなど、不安は尽きないでしょう。
この記事では、葬儀のキャンセルは可能なのか、キャンセル料はいつから発生するのかを詳しく解説します。費用を抑えるための連絡のタイミングや具体的な手続き、トラブルを避けるための注意点もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
葬儀のキャンセルは可能?まずは落ち着いて確認

急なことで動揺されているかと思いますが、まずは落ち着いて状況を整理しましょう。結論から言うと、葬儀の依頼後であってもキャンセルは可能です。大切なのは、キャンセルを決めたらすぐに葬儀社へ連絡することです。
葬儀の契約後でもキャンセルはできます
葬儀の契約を交わした後でも、キャンセルすること自体は問題ありません。ただし、契約書の内容によってはキャンセル料が発生する場合があります。まずは契約書にキャンセルに関する規定があるかを確認しましょう。
もし契約書を交わしていない段階であれば、原則としてキャンセル料は発生しません。しかし、ご遺体の搬送や安置など、すでに対応してもらったサービスにかかった費用(実費)は請求されることが一般的です。
キャンセルを決めたらすぐに連絡しましょう
葬儀のキャンセルを決意したら、一刻も早く葬儀社に連絡することが重要です。葬儀の準備は時間と共に進行していくため、連絡が遅れるほどキャンセル料が高くなる可能性があります。費用を最小限に抑えるためには、迅速な行動が鍵となります。
連絡手段は、行き違いを防ぐためにも、まずは電話で直接伝えるのが確実です。担当者に事情を説明し、キャンセルの意思をはっきりと伝えましょう。言い出しにくいと感じるかもしれませんが、葬儀社も様々なケースに対応しているので、正直に話すことが大切です。
葬儀のキャンセル料はいつから発生する?

葬儀のキャンセル料は、葬儀社との契約内容や準備の進行度合いによって大きく異なります。いつから、いくら費用が発生するのかを正しく把握するためにも、まずは手元にある書類を確認することが第一歩です。
契約書に記載のキャンセル規定を確認する
キャンセル料について知るためには、まず葬儀社と交わした契約書(または見積書)を確認してください。多くの場合、キャンセルに関する条項が設けられており、いつからキャンセル料が発生するのか、その金額や計算方法が記載されています。
もし契約書にキャンセル料に関する明確な記載がない場合は、法外な金額を支払う義務はありません。不明な点があれば、請求されるがままに支払うのではなく、まずは葬儀社に説明を求めましょう。
クーリングオフ制度は適用されるのか
残念ながら、通常の葬儀契約ではクーリングオフ制度は適用されません。クーリングオフは、訪問販売など不意打ち性の高い契約が対象であり、自ら葬儀社に連絡して依頼した場合は対象外となるのが一般的です。
ただし、自宅に突然訪れた業者と契約した場合など、状況によっては適用されるケースも考えられます。判断に迷う場合は、お住まいの地域の消費生活センターに相談してみることをおすすめします。
進行度合いで変わるキャンセル料の内訳
キャンセル料は、葬儀の準備がどこまで進んでいるかによって変動します。連絡するタイミングが早いほど、費用を安く抑えることができます。一般的な進行度合いと費用の目安は以下の通りです。
| 準備の進行度合い | 発生する費用の目安 |
|---|---|
| ご遺体の搬送・安置のみ | 実費(搬送費、ドライアイス代、安置料など)のみ |
| 打ち合わせ・会場や火葬場の予約後 | 実費 + 手配手数料 |
| 納棺後・祭壇設営後 | 実費 + 見積もり金額の30%~50%程度 |
| 葬儀当日 | 見積もり金額の70%~100% |
これはあくまで一般的な目安であり、具体的な金額は葬儀社や契約内容によって異なります。早めの決断と連絡が、ご自身の負担を軽くすることにつながります。
実費請求される可能性のある項目一覧
たとえキャンセル料自体が発生しないケースでも、すでに行われたサービスに対する実費は請求されます。具体的には、以下のような項目が考えられます。請求書が届いたら、内容をしっかり確認しましょう。
- 寝台車(ご遺体の搬送費用)
- ドライアイス、保冷剤
- ご遺体の安置施設利用料
- 枕飾りなど、すで手配済みの物品
- 各種手続きの代行手数料
- スタッフの人件費
これらの項目は、葬儀を行う上で必要不可欠な初期対応です。キャンセルしたとしても、稼働した分は支払う必要があると理解しておきましょう。
葬儀をキャンセルする具体的な手続きと流れ

実際に葬儀をキャンセルする際の手順と流れを解説します。まずは葬儀社へ電話で連絡し、その後、必要に応じて書面での手続きや関係者への連絡を進めていくのが基本的な流れです。
まずは葬儀社へ電話で意思を伝える
お葬式の予定をキャンセルする場合、まず最初に行うべきは葬儀社への電話連絡です。メールやFAXでは確認が遅れる可能性があるため、確実かつ迅速に意思を伝えるために電話を選びましょう。連絡する際は、以下の情報を手元に準備しておくとスムーズです。
- 契約者(喪主)の氏名
- 故人の氏名
- キャンセルしたいという明確な意思
- 簡単なキャンセルの理由
担当者が不在の場合でも、電話に出たスタッフに用件を伝え、折り返し連絡をもらうように依頼してください。「言った」「言わない」のトラブルを防ぐため、電話をかけた日時や対応したスタッフの名前をメモしておくと安心です。
連絡する際の丁寧な言い方と伝え方
葬儀社にキャンセルの連絡をする際は、感情的にならず、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。「葬式予定のキャンセルをお願いしたい」という言い方で、まずは結論から伝えます。誠意ある態度で事情を説明することが、円満な解決への近道です。
例えば、「大変申し訳ないのですが、諸事情により、先日お願いした葬儀の件をキャンセルさせていただきたく、ご連絡いたしました」といった形で切り出すと良いでしょう。キャンセル理由を聞かれた際は、正直に、かつ簡潔に答えるのが望ましいです。
書面での通知が必要になるケースも
基本的には電話連絡でキャンセル手続きは進みますが、葬儀社によっては書面での通知を求められることがあります。また、後のトラブルを避けるために、ご自身の意思で書面を作成しておくことも有効な手段です。
書面を送る場合は、普通郵便ではなく、送付した記録が残る「内容証明郵便」を利用するとより確実です。特に、高額なキャンセル料を請求されているなど、葬儀社との間で意見の相違がある場合に効果的です。
親族や関係者への連絡も忘れずに行う
葬儀社への連絡と並行して、すでに訃報を伝えた親族や関係者への連絡も忘れずに行いましょう。葬儀が中止または延期になったことを速やかに伝え、混乱を避ける必要があります。連絡漏れがないよう、リストを作成して確認すると確実です。
身内の不幸で予定をキャンセルしてもらう返信をいただいた方々へも、丁寧にお詫びと事情を説明しましょう。連絡手段は電話が基本ですが、相手によってはメールや手紙など、状況に応じた方法を選びます。
葬儀社を変更・キャンセルする主な理由

葬儀をキャンセルする理由は人それぞれです。費用面の問題から、葬儀社の対応への不満まで、さまざまな事情が考えられます。ここでは、多くの方に共通する主なキャンセル理由をご紹介します。
費用面での見直しや予算の変更
最も多い理由の一つが費用に関する問題です。当初の見積もりが想定していた予算を大幅に超えてしまった場合、キャンセルを検討する方は少なくありません。より費用を抑えた葬儀を実現するために、他の選択肢を探すのは自然なことです。
また、互助会の解約を検討するケースや、急な出費で予算自体を見直す必要が出てくることもあります。冷静に経済状況を判断し、無理のない範囲で故人を送ることが大切です。
他の葬儀社と比較して決めたくなった
病院から紹介された葬儀社に慌てて依頼したものの、後から他の葬儀社のプランを知り、そちらの方が魅力的だと感じるケースもあります。じっくりと葬儀社の比較検討をしたいという思いから、一度依頼した葬儀社をキャンセルする決断に至ります。
最近では、インターネットで簡単に複数の葬儀社から見積もりを取ることができます。各社のサービス内容や費用を比較し、自分たちの希望に最も合う葬儀社を選び直すことは、後悔しないお葬式のために重要な過程です。
家族や親族間での意見の相違
葬儀の形式や場所、規模などについて、家族や親族の間で意見がまとまらないこともキャンセルの一因となります。例えば、故人の遺志と家族の希望が異なったり、親族から特定の形式を強く求められたりするケースです。
特に、喪主一人で葬儀の準備を進めていると、後から親族の意見を聞いて変更せざるを得なくなることがあります。全員が納得できる形を見つけるために、一度立ち止まって話し合いの時間を持つためのキャンセルも必要になるでしょう。
葬儀社の対応に不信感を抱いたとき
担当者の説明が不明瞭であったり、こちらの要望を軽視されたりと、葬儀社の対応に不信感を抱いた場合もキャンセルの大きな理由となります。大切な家族を任せる相手として、信頼できないと感じるのは当然のことです。
高圧的な態度を取られたり、不要なオプションをしつこく勧められたりといったクレームにつながるような対応も問題です。安心して故人を見送るためには、信頼できる葬儀社を選ぶことが不可欠です。
キャンセル時のトラブルを避けるための注意点

葬儀のキャンセルは、ただでさえ精神的な負担が大きい中で行わなければなりません。余計なトラブルに発展させないためにも、いくつかの注意点を押さえて冷静に対応することが大切です。
高額なキャンセル料を請求されたら
もし葬儀社から法外だと思われる高額なキャンセル料を請求された場合は、すぐに支払いに応じず、まずは冷静に対応しましょう。請求の内訳を詳しく説明してもらい、契約書の記載と照らし合わせることが重要です。
契約書に明確な規定がないにも関わらず高額な請求をされた場合は、支払う義務がない可能性が高いです。葬儀社側の説明に納得できない場合は、次の段階として専門家への相談を検討しましょう。
葬儀社との交渉で困ったときの相談先
葬儀社との話し合いがうまくいかず、トラブルに発展してしまった場合は、第三者機関に相談することをおすすめします。一人で抱え込まず、専門的な知識を持つ機関の助けを借りましょう。
- 消費生活センター・国民生活センター(消費者ホットライン「188」)
- NPO法人 葬儀消費者相談センター
- 弁護士(法テラスなど)
これらの機関では、契約トラブルに関する相談を受け付けており、今後の対応について具体的なアドバイスをもらえます。特に消費者センターは、多くのクレーム事例を扱っており頼りになります。
新しい葬儀社へスムーズに引き継ぐ方法
無事にキャンセル手続きが完了したら、次は新しい葬儀社の手配を進めます。特に、すでに故人のご遺体を預けている場合は、速やかな引き継ぎが必要です。新しい葬儀社には、これまでの経緯を正直に話しましょう。
事情を理解した上で、前の葬儀社からのご遺体の搬送など、引き継ぎ作業を代行してくれる葬儀社も多くあります。新しい葬儀社の選び方としては、複数の会社から見積もりを取り、対応の丁寧さや費用の透明性をしっかり比較することが大切です。
まとめ:葬儀のキャンセルは迅速な連絡が鍵

葬儀のキャンセルは、さまざまな理由から誰にでも起こりうることです。大切なのは、キャンセルは可能であると知り、慌てず冷静に対応することです。費用やトラブルを最小限に抑えるためには、キャンセルを決断したらすぐに葬儀社へ連絡することが何よりも重要です。
連絡の際は契約書を手元に置き、契約内容を確認しながら話を進めましょう。もし不当な請求やトラブルに発展した場合は、一人で悩まず消費生活センターなどの専門機関に相談してください。この記事が、あなたの不安を少しでも和らげる一助となれば幸いです。
葬儀のキャンセルに関するよくある質問

葬儀のキャンセルはどう伝えればいい?
まずは葬儀社に電話で連絡し、キャンセルしたい旨をはっきりと伝えましょう。その際、契約者名と故人名を伝え、キャンセルの理由も簡潔に説明するとスムーズです。感情的にならず、丁寧な言葉遣いを心がけることが大切です。
後のトラブルを防ぐため、電話をかけた日時や担当者の名前を記録しておくことをお勧めします。葬儀社によっては書面での手続きが必要になる場合もあるため、電話で今後の流れを確認しておきましょう。
葬儀のキャンセル料はいくらかかる?
キャンセル料の金額は、契約内容と準備の進行度合いによって大きく異なります。ご遺体の搬送や安置のみの段階であれば、数万円程度の実費で済むことが多いです。しかし、葬儀当日が近づくにつれて、見積もり金額の数十パーセントという高額な費用が発生する可能性があります。
まずは契約書に記載されているキャンセル規定を確認してください。記載がない場合や、請求額に納得できない場合は、すぐに支払わず葬儀社に内訳の説明を求めましょう。
キャンセル料が無料になることはある?
葬儀の依頼をした直後で、葬儀社がまだ何も手配を進めていない段階であれば、キャンセル料が無料になる可能性はあります。また、葬儀社側の説明不足や不誠実な対応など、契約不履行にあたる理由がある場合も、キャンセル料を支払う必要がないケースがあります。
ただし、ご遺体の搬送など、すでに行われたサービスに対する実費は請求されるのが一般的です。無料でキャンセルできるかどうかは、あくまでケースバイケースであると理解しておきましょう。
みんなが葬儀をキャンセルする理由は?
葬儀をキャンセルする理由は多岐にわたりますが、主に以下のような理由が挙げられます。最も多いのは、見積もり金額が想定していた予算を大幅に超えてしまったという費用面での問題です。
その他にも、「他の葬儀社と比較検討したくなった」「家族や親族間で意見がまとまらない」「担当者の対応に不信感を抱いた」といった理由があります。どの理由であっても、後悔のないお別れをするための前向きな決断と言えるでしょう。
キャンセル後に費用を抑える方法は?
キャンセル後に改めて葬儀社を探す際は、費用を抑えるためにも慌てて一社に決めないことが重要です。複数の葬儀社から相見積もりを取り、サービス内容と費用をじっくり比較検討しましょう。そうすることで、葬儀費用を抑えるコツが見えてきます。
葬儀の形式(一般葬、家族葬、火葬式など)を見直したり、不要なオプションを削ったりすることでも費用は調整可能です。自分たちの希望と予算に合った、納得のいく葬儀社を見つけることが大切です。