「親が危篤と言われたら、誰にどう連絡すればいいのか」
「仕事はどのようにして休めばいいのか」
親が危篤と医師から告げられた時、どんな人でも気が動転し、何をすべきかわからなくなるものです。あらかじめ「連絡すべき人」を決めていないと、いざという時に混乱してしまうでしょう。
自分の対応が不適切だった場合、看取ってほしい人に最期を見届けてもらえない事態になりかねません。そうなれば「親にもその人にも申し訳ない」と一生後悔する可能性があります。
この記事では、危篤時の連絡先や会社への報告方法、休暇取得について詳しく解説します。適切な対応を知っておくことで、大切な看取りの時間に集中できるでしょう。
危篤状態の意味と回復の可能性
危篤とは、病状が悪化して今にも亡くなりそうな状態を指します。まれに意識が回復して持ち直すケースもありますが、医学的には回復の可能性が非常に低い状況です。
危篤:今にも息を引き取りそうな状態であり、回復を見込めない
重篤:命の危険もある状態であるが、回復が見込める引用:安心葬儀
危篤状態から亡くなるまでの時間は人によって大きく異なります。早ければ数時間、長い場合は数日間続くこともあるため、心の準備とともに適切な連絡を行うことが重要です。
危篤時の連絡は「家族と親しい人のみ」に限定する
親が危篤になった時、多くの人への連絡を考えがちですが、基本的には家族と特に親しい人のみに連絡します。ここでいう家族とは、本人の配偶者・子ども・孫・ひ孫が該当し、範囲を広げても兄弟姉妹や親友程度に留めるべきです。
連絡範囲を限定する理由は明確です。多くの人への連絡作業に追われて、肝心の看取りに集中できなくなるためです。また、狭い病室に大勢が押し寄せると、落ち着いて最期の時を過ごすことができません。
病院から危篤の知らせを受けた場合、まず病院に向かい、その後本当に必要な人にのみ連絡を取りましょう。切羽詰まった状況では、連絡作業よりも看取りを最優先に考えることが大切です。
遠方の親戚への連絡は慎重に判断する
駆けつけるのに何時間もかかる遠方の親戚への連絡は、慎重な判断が必要です。安易に連絡すると、かえって相手に負担をかける可能性があります。
遠方の親戚が負担に感じる要素は以下の通りです。
- 駆けつける際の交通費や時間的負担
- 仕事や家庭の都合で駆けつけられない場合の申し訳なさ
- お葬式までの期間中の滞在費用や往復の負担
家族や特に親しい関係でない限り、危篤の連絡は控えるのが適切でしょう。遠方の親戚にはお葬式の日程が決まってから連絡することで、相手の負担を軽減できます。
会社への連絡は直属の上司に電話で行う
今後の業務に影響が出るため、会社への連絡は必要です。ただし、家族への連絡や看取りの方が重要なので、少し落ち着いてから連絡を取れば問題ありません。
連絡先は直属の上司とし、メールよりも電話で状況を伝える方が確実です。深夜や早朝など電話が適さない時間帯は、取り急ぎメールで一報し、後ほど適切な時間に電話をかけ直しましょう。
会社への連絡で伝える内容は以下の3点に絞ります。
- 危篤者との関係(親が危篤であること)
- 休暇取得の希望(期間は不明でも可)
- 緊急性の高い業務の有無と簡単な対応方針
詳しい病状や原因を説明する必要はありません。休暇期間も予測困難なため、長期になる可能性があることだけ伝えれば十分です。詳細な引き継ぎは後日改めて連絡することを伝えておきましょう。
危篤が長期化した場合の仕事との両立方法
危篤状態が一進一退で数日間続く場合、仕事との両立に悩むことがあります。一時も離れたくない気持ちと、長期間の休暇が困難な現実の間で板挟みになるでしょう。
一時も離れられないと思う一方で、仕事を長期間休むのも難しい・・・。
このような場合、会社の業務に支障をきたさない方法を上司と相談する必要があります。電話やメールでの対応だけでは限界があるため、状況を見て一度会社に出向き、今後の業務体制を整えることが重要です。引き継ぎや打ち合わせを行い、可能な範囲でのリモート対応も検討しましょう。
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危篤による休暇は原則として有給休暇扱い
親の危篤を理由とする休暇は、一般的に有給休暇を取得して対応します。有給休暇の取得は労働基準法で保障された労働者の権利であり、会社がこれを拒否することは法的に認められていません。
このような緊急事態での有給取得は、多くの会社で後日申請も認められています。ただし、何の連絡もしないのは社会人としてのマナーに反するため、最低でも直属の上司への連絡は必須です。
既に有給を使い切っていたり、入社して6ヶ月に満たない新入社員のため有給自体が無い場合は?
有給休暇がない場合は残念ながら欠勤扱いとなり、休んだ日の給与は支払われません。入社間もない時期や有給を使い切った状態では、経済的な負担も考慮して休暇計画を立てる必要があります。
危篤は忌引き休暇の対象外
危篤での休暇を忌引き扱いにできるのではと考える人もいますが、危篤は忌引き休暇の対象にはなりません。忌引きとは「親族が亡くなった後にお葬式や喪に服すために取る休暇」であり、危篤状態は対象外です。
「もしかしたら、忌引き扱いになるかも?」
忌引き休暇と有給休暇の法的な位置づけは以下の通り異なります。
有給休暇 ⇒ 法律
忌引き休暇 ⇒ 会社による
忌引き休暇は労働基準法で定められた制度ではありません。会社によっては「慶弔休暇」や「特別休暇」として制度化していますが、設けていない会社では親族のお葬式でも有給休暇での対応となります。就業規則で詳細を事前に確認しておくことをおすすめします。
まとめ
まとめ
- 危篤状態は数時間から数日間続く可能性がある
- 事前に連絡すべき人を決めておくことが重要
- 連絡は家族と本当に看取ってほしい人のみに限定
- 遠方の親戚への連絡は葬儀日程決定後が適切
- 会社への連絡は直属の上司に電話で行う
- 危篤が長引く場合は上司と業務体制を相談
- 親の危篤での休暇は有給休暇で対応
親を看取る時間は、人生でたった一度だけの かけがえのない瞬間です。この大切な時間に集中するためには、事前の準備と心構えが重要な要素となります。
連絡先リストを作成しておくだけでも、いざという時の対応は格段に改善されます。仕事も大切ですが、その時だけは親のことを最優先に考えてください。適切な準備があれば、後悔のない看取りができるはずです。