
突然の事故や病気、あるいは高齢になってからの生活の変化に備えて、自分の情報を整理しておくことは誰にとっても大切な準備です。とはいえ、いきなり終活ノートを用意するのは少しハードルが高く感じる方も多いのではないでしょうか。そんな中、ダイソーの「もしもノート」シリーズは、気軽に始められるエンディングノートとして注目されています。
本記事では、もしもノートの中身や活用法、他の100均ノートとの違いまで徹底的に解説。自分の思いや大切な情報を、分かりやすく整理したい方のための実用的なガイドとしてお届けします。
エンディングノートとは?役割と目的をわかりやすく解説

エンディングノートとは、自分に「もしも」のことが起こったときに備えて、家族や大切な人に伝えたい情報や想いを書き残すノートのことです。主に終活の一環として活用されており、名前のとおり人生の終わりに向けた準備の記録として使われます。
書く内容は自由で、自分の基本情報、医療に関する希望、財産の整理、葬儀の希望など多岐にわたります。また、家族へのメッセージや感謝の言葉など、心の整理としても役立ちます。書き方に正解はなく、自分の思いや状況に合わせて柔軟に記していけるのが特徴です。
最近では、高齢者だけでなく若い世代でも「備え」としてエンディングノートを書く人が増えています。事故や災害など、突然の事態に備える手段として注目されているのです。
エンディングノートと「もしもノート」の違いとは?
「エンディングノート」と「もしもノート」、どちらも似たような目的で使われますが、内容や使い方には違いがあります。エンディングノートは人生の最終段階を見据えた情報を包括的にまとめるノートであり、自分の思いや希望、死後の手続きに関わる情報まで記録するのが一般的です。
一方、「もしもノート」はダイソーなどで販売されている実用的なノートで、より日常的かつ具体的な緊急時の備えを意識した内容になっています。エンディングノートよりもライトな位置づけで、「自分に何かあったときの連絡先」や「ペットの世話」など、より現実的な状況への対応がメインとなっています。
法的効力はあるの?遺言書との違いも解説
多くの人が気になるポイントに、「エンディングノートには法的効力があるのか?」という疑問があります。答えは「法的効力はない」です。つまり、たとえ財産の分け方を書いたとしても、遺産相続には影響しません。
一方で、遺言書は法律に基づいて作成された文書であり、正式な手続きを踏んでいれば相続に対して法的な効力を持ちます。エンディングノートはあくまで「意思の表明」や「家族へのメッセージ」として使い、法的な手続きを行いたい場合は遺言書を併用することが理想的です。
もしもノートの売り場は「文房具コーナー」

ダイソーの「もしもノート」を探す際、売り場が分からずに困る方も多いかもしれません。多くの店舗では文房具コーナーのノート類が並ぶ棚に陳列されています。家計簿やメモ帳などが置かれている周辺をチェックすると見つけやすいでしょう。
ただし、店舗によっては取り扱っていない場合や、終活コーナーなどに別途設けられていることもあります。どうしても見つからない場合は、店員さんに「もしもノートはありますか?」と尋ねてみるとスムーズです。
この記事で紹介しているもしもノートは、ダイソー複数店舗を巡って全種類を集めました。
この記事で紹介しているもしもノートは、ダイソー複数店舗を巡って全種類を集めました。
ダイソー公式通販サイト「ダイソーネットストア」でも取り扱いがありますが、ご注文金額11,000円未満では全国一律(沖縄県・離島除く)770円の送料がかかります。
ダイソーのもしもノートの中身を大公開

ダイソーの「もしもノート」シリーズは、目的に応じた5種類のノートが用意されており、それぞれに重要な情報を記録できます。自身のこと、資産の管理、健康状態、人間関係、ペットのケアといった分野ごとに分かれているため、必要な情報を分かりやすく整理できます。以下では、それぞれのノートの内容と活用ポイントを紹介します。
自身の事について書き込める「じぶんノート」

じぶんノートの項目 | |
プロフィール | 自分についての基本情報 |
マイ・ヒストリー | 過去に住んだ場所ができごと |
ルーティン | 毎週行く場所や年間行事など |
お気に入り | 自分の好きなもの |
ライフラインのこと | 生活に必要な公共料金・各種サービスの情報 |
クレジットと電子マネーのこと | カードや電子マネー情報 |
健康のこと | 持病やかかりつけ医について |
連絡先リスト | 親類や友人の連絡先 |
もしも・・・のときのこと | 自分が事故などで意識障害になったり、亡くなった時のためのこと |
「じぶんノート」は、自分自身に関するあらゆる情報を記録するノートです。プロフィールやマイ・ヒストリー、ルーティンなど、自分の過去と現在を整理できる項目が豊富に用意されています。また、ライフラインやクレジットカード、健康情報、親しい人の連絡先など、生活全体を把握できる内容も特徴です。
特に注目したいのは「もしも・・・のときのこと」という項目で、万が一意識を失ったり、亡くなった場合に備えての意思表示ができます。日常を振り返る記録としても使えるため、人生を見つめ直したい方にも最適です。



自分の基本情報(名前、住所など)から、家族や友人の連絡先、もしもの事など自身のことについて、一通りの事は書けるようになっています。


マイ•ヒストリーや一日のルーティーンなど自分に関する記録を残せるので、過去のことや今の生活を振り返ってみたい方、自分を見つめ直したい方にもおすすめ。
資産やお金について書き込める「おかねノート」

おかねノートの項目 | |
収入・支出について | 毎月の収支について基本情報 |
年間の出費・ライフプラン貯蓄 | 定期的な支出や、目的別の貯蓄について |
銀行口座について | 使用している銀行と主な用途 |
クレジットカードについて | どのカードがどの口座から引き落とされるか |
貯蓄・電子マネーについて | 貯蓄用の銀行口座や電子マネー情報 |
保険について | どの保険料金がどの口座から引き落とされるか、頻度 |
年金について | 基礎番号や年金の種類 |
マイホームについて | 不動産に関する情報 |
ローンなど | 借入れや返済計画 |
コレクションについて・もしもの時のお金のこと | 事故などにあって意識障害になったり、亡くなった時のため |
「おかねノート」は、自分のお金や財産に関する情報を一元管理できるノートです。毎月の収支、銀行口座、クレジットカード、電子マネー、保険、年金、不動産、ローンなど、多岐にわたる金融情報を詳細に書き込むことができます。
さらに、コレクションや「もしものときのお金のこと」も記載可能で、緊急時にどのように財産を扱ってほしいかを明示できるのが大きな特徴です。他のエンディングノートにはない、具体的な資産管理に特化した実用性が光ります。





収入や支出に関すること、銀行口座やクレジットカード、保険や年金についてなどお金に関する事は一通りまとめられます。

「もしものとき、自身のお金をどうしてほしいか」について書いておけるのは、他のエンディングノートではあまり見なかったので、このような項目があるのはいいですね。
自身の健康について書き込める「けんこうノート」

けんこうノートの項目 | |
私の体と健康の情報 | 自分の健康について基本情報 |
生活習慣 | 自分の生活習慣について |
検診の履歴 | 人間ドックや健康診断の情報 |
既往歴 | 過去から現在までの自分の病気やケガの情報 |
医療機関一覧 | よく利用する病院やクリニック情報 |
お薬について | 普段飲んでいるお薬の情報 |
もしも・・・入院することになったら | 入院時、自分の生活に必要なもの、持ってきてほしいもの |
もしも・・・のときに必要な情報 | 普段通っているサービスや施設 |
もしも・・・介護が必要になったら | 介護についてのあなたの希望や考え |
もしも・・・のときのこと | 病気の告知、治療についての希望や考え方 |
「けんこうノート」は、自分の健康状態や医療に関する情報を記録するノートです。生活習慣、検診の履歴、既往歴、お薬の情報、医療機関一覧など、細かく記録できる構成になっています。
また、「もしも入院することになったら」「介護が必要になったら」といった将来への備えも記入できるため、介護や治療についての希望を家族に伝える手段として非常に有効です。インスリン注射やペースメーカーの有無といった深い情報まで記載できる点も特徴です。

インスリン注射を打っているか・ペースメーカーをつけているかなど、だいぶ踏み込んだ内容まで記入できるのはすごいです。



また、過去の検診の記録をつけられたり普段お世話になっている病院や、服用している薬も記載できます。

ノートの後半は、もしも介護が必要な状態になったときのことをまとめられます。
お付き合いのある方について書き込める「おつきあいれんらくノート」

おつきあいれんらくノートの項目 | |
家族のこと | 家族の基本情報 |
親族のこと | 親族の基本情報 |
親族表 | 親族のつながり、家系図 |
親族メモ | 親族の命日、冠婚葬祭など |
贈答記録 親族編 | 親族との贈答の記録 |
覚えておきたいこと | 月ごとのお付き合い・イベントなど |
友人のこと | 交友関係に関する情報 |
贈答記録 友人編 | 友人との贈答の記録 |
その他の連絡先 | もしもの時のための、親しい人たちとの連絡先 |
「おつきあいれんらくノート」は、家族・親族・友人・知人との関係や連絡先を整理するノートです。家族構成や親族の基本情報に加えて、家系図や冠婚葬祭の記録、贈答履歴まで残すことができます。
また、月ごとのイベントや趣味の仲間の連絡先などもまとめられるため、人付き合いが広い方や人間関係を大切にしている方に最適です。万が一の際に家族が誰に連絡すればよいか、迷わずに済むようサポートしてくれます。



親族や友人知人の連絡先の記載ができ、家系図も記入できます。


親族の命日の記載や、贈答記録も残せるようになっていて、完成度の高いノートですね。

習い事やサークルに関する連絡先もまとめておけるので、人付き合いが広い方にはおすすめのノートです。
ペットについて書き込める「うちの子ノート」

うちの子ノートの項目 | |
うちの子プロフィール | うちの子についての基本情報 |
この子の正確 | うちの子の性格 |
ゴハンのこと | 毎日の食事について |
お手入れのこと | 利用するサロンや動物病院 |
お世話のこと | お散歩など日々の生活を見ていて気づいたこと |
健康のこと | うちの子がかかった病気について |
通院記録 | 通院と保険を使用した記録 |
連絡帳 | うちの子の面倒を他人に見てもらう際の注意事項など |
うちの子がもしもの時・・・ | 急に預かってもらう時や飼い主が世話ができなくなった時のお願いなど |
「うちの子ノート」は、ペットの健康・生活・性格・好みまで詳細に記録できるノートです。基本情報や性格、ごはんやお手入れの情報、健康状態、通院履歴などを丁寧に書き残せます。
特に「うちの子がもしもの時・・・」という項目では、自分が世話できなくなった際のお願いごとを明記でき、愛するペットの将来を守る手段となります。突然の不在時にも他者が適切にケアできるよう、具体的な注意点を連絡帳に記すことが可能です。




ペットの基本情報からペットの好き嫌い、普段お世話になっているトリマーさん、病院など記録できます。

普段のお散歩から、ペットのお気に入りの商品まで幅広くまとめられます。

もしもノートのメリットは「安さ」、デメリットは「手に入りづらい」

ダイソーの「もしもノート」は、万が一に備えるエンディングノートとして注目を集めています。その最大の特徴は、手に取りやすい価格と内容の分かりやすさにあります。しかし一方で、使い勝手の良さとは裏腹に「手に入りにくい」という声もあるのが実情です。ここでは、「もしもノート」のメリットとデメリットを具体的に見ていきましょう。
もしもノートのメリット|お手頃価格
「もしもノート」の最大の魅力は、税込110円という圧倒的な価格の安さです。エンディングノートといえば1,000円以上のものも多く、初めての人には心理的なハードルになりがちですが、ダイソーであれば気軽に手に取ることができます。
しかも内容は本格的で、じぶんノート・おかねノート・けんこうノートなど目的ごとに分かれた5種類が揃っており、自分に必要な部分だけ選んで使えるのも大きな魅力です。書きやすいフォーマットと親しみやすいデザインも、初心者にとってうれしいポイントでしょう。
もしもノートのデメリット|手に入りづらい
一方、よく挙げられるデメリットが「売り場に行っても在庫がない」「なかなか見つからない」という点です。ダイソーの店舗は全国にありますが、店舗によって品ぞろえにばらつきがあり、もしもノートを常時取り扱っているとは限りません。
特に話題になった直後や店内で目立つ位置に陳列されたタイミングでは、人気が集中してすぐに売り切れてしまうケースもあります。確実に手に入れるには、文房具コーナーを丁寧に探すことや、複数の店舗を回ってみることが必要かもしれません。タイミングと店舗に恵まれれば、理想の1冊に出会えるでしょう。
もしもノートの書き方と注意点

「もしもノート」は、書くこと自体は自由ですが、より実用的に活用するためには少しの工夫と準備が大切です。せっかく情報を記入するなら、いざという時に役立つ形で残したいものです。ここでは、記入を始める前に考えておきたいポイントと、記入後に注意しておきたいことを紹介します。
記入前に準備しておきたいこと
まず、ノートに向き合う前に手元に必要な資料や情報をまとめておくことが重要です。たとえば、保険証券や銀行口座の情報、かかりつけの病院の診察券、家族や友人の連絡先など、具体的な情報を参照しながら書き進めることで、より正確で信頼性の高い内容になります。
また、「誰のために、何を伝えたいのか」を意識しておくと、記入の目的が明確になります。自分の希望だけでなく、見た人が理解しやすいように丁寧な字やわかりやすい表現を使うことも心がけましょう。
内容は定期的に見直そう
「もしもノート」は、一度書いたら終わりではありません。引っ越し、転職、口座変更、健康状態の変化など、日常のちょっとした変化に応じて見直すことが大切です。内容が古くなっていると、いざというときに誤解や混乱を招く原因にもなります。
特に「おかねノート」や「けんこうノート」のような情報の更新頻度が高い項目については、半年から1年に一度程度の見直しを目安にしておくと安心です。書き直す際は日付を入れておくことで、最新情報かどうかがひと目でわかります。
ダイソー以外の100均エンディングノートと比較
100円ショップでは、終活の準備として使えるエンディングノートが手軽に手に入るようになってきました。ダイソーの「もしもノート」が有名ですが、セリアやキャンドゥでもオリジナルのエンディングノートが取り扱われています。ここでは、それぞれの違いを比較しながら、どのような人に合っているかを紹介します。
セリアやキャンドゥとの違い
セリアとキャンドゥでは、基本的な情報を1冊にまとめられるシンプルなエンディングノートが販売されています。両社で取り扱っているノートは同じで、必要最低限の情報を記入できる構成となっており、「まずは軽く書き始めてみたい」という方にぴったりです。
一方、ダイソーの「もしもノート」は、じぶんノート・おかねノート・けんこうノートなどテーマ別に5冊に分かれているのが大きな特徴。情報を細かく整理したい人や、分野ごとにじっくり書きたい人に向いています。さらに、ダイソーでは専門家監修の「もしもに備えるエンディングノート」という本格派の1冊も用意されており、内容重視派にも対応しています。
使いやすさ・書きやすさを比較
セリア・キャンドゥのノートは、1冊で完結できる点が便利です。ページ数が限られている分、気軽に始めやすく、エンディングノートに対して敷居の高さを感じている人にとっては良い導入ツールになります。ただし、記載できる情報が少なく、細かく記録したい場合は物足りなさを感じるかもしれません。
ダイソーの「もしもノート」は、それぞれの分冊がテーマに特化しているため、記入欄が広く、項目が具体的で書きやすいのが魅力です。必要なノートだけ選んで使えるため、無理なく続けやすく、自分に合ったペースで終活を進められます。
まとめると、シンプルさを重視するならセリアやキャンドゥ、情報の充実度や記録の深さを求めるならダイソーのノートがおすすめです。どれも手頃な価格で購入できるため、気になるものを実際に手に取って比べてみるのが良いでしょう。
こんな人に「もしもノート」はおすすめ

「もしもノート」は、手軽に始められる終活ノートとして、多くの人に支持されています。なかでも、次のような方に特におすすめです。目的に合わせてノートの種類を選べるため、自分のスタイルで“備え”を始めたい人にぴったりです。
終活を始めたいけど何から始めればいいかわからない方
終活を意識し始めたものの、何から手をつけていいか分からない……そんな方にとって「もしもノート」は最初の一歩として最適なツールです。難しい専門用語や堅苦しい手順は一切なく、項目ごとに自分の情報を少しずつ書き込むだけで大丈夫。
特に「じぶんノート」から始めれば、自分のことを整理しながら自然と終活の考え方が身につきます。書くうちに、自分が本当に伝えたいことや備えておきたい内容が見えてくるはずです。
家族に自分の思いや情報を伝えたい方
もしもの時に、自分の意志を家族に伝えられなかったら…。そんな不安を感じたことはありませんか?「もしもノート」は、家族への想いや生活に関する情報をしっかり残しておけるので、急な事態が起きても安心です。
住所録やかかりつけ医、保険、口座、ペットのことまで書いておけば、家族が困らずに対応できる状況を整えられます。伝えたいことを言葉で残す機会がないまま…と後悔しないように、今のうちからノートに書き留めておくのがおすすめです。
できるだけお金をかけずに始めたい方
終活ノートは興味があるけれど、書籍やキットは高いし買うのに勇気がいる——そんな方でもダイソーの「もしもノート」なら1冊たったの税込110円。経済的な負担をほとんどかけずに、本格的な備えが始められます。
しかも5種類から必要なものだけ選べるため、ムダなく自分に合った終活を始められるのも大きな魅力です。「始めてみたいけど、続けられるか不安」という方にも、まずは試してみる価値のある1冊といえるでしょう。
さいごに

「もしもノート」は、シンプルでありながらも深く、自分の人生を振り返り、周囲に想いを伝えるための大切なツールです。高価な終活グッズでなくても、気軽に始めることができる点が多くの人に支持される理由でしょう。
今回紹介した内容を参考に、まずは「じぶんノート」から始めてみるのもおすすめです。備えは突然の不安を軽くし、未来の安心につながります。あなたも今日から、100円で始める“もしも”の準備をスタートしてみませんか?
個人的には、葬儀や相続に関する基礎知識をつめこんだノートがもう1冊あればいいなと思いました。そのようなノートがほしい場合は一般的なエンディングノートもおすすめです。